まず
子どものころに読んで、トラウマ的に衝撃を受けたSF漫画の話。
そこは遠い惑星で、
住んでる人間の数は極端に少ない。地球からの移住は、上手く行かなかったみたいだ。
作物は実らず、原住の動物もいない。魚もいない。野草もない。果実もない。
農業は失敗した。どう頑張っても、何も育たなかった。
人間に喰えるものがないのだ。
人は一人、一人と死んでゆく。死んだら埋葬機械みたいなのに入れる。
そこでの、人々の食べ物は白い、ふわふわした、ご飯でもない、パンでもない、
四角い、豆腐とパンケーキの融合みたいな食物。
これは、自動調理機械から出てくる。
これが、子供の僕にはとても美味しそうに見えた。
それで、衝撃の結末は、
その白い食べ物は死んだ人の体を分解して、再構築して造ったものだった、ということが判明する。。
埋葬機械と調理機械は実は、同じものだったのだ。
ところで。
「白い、ふわふわした食べ物」というのは、
農耕文化普及以前の、人類の夢だったのではないだろうか?
それが実現したのが「ご飯」であり、「パン」である。
「豆腐」も、そうかもしれない。
革命以前のフランスの、マリー・アントワネットが悪名高いのは、国が飢餓状態の時に
「パンがなければパンケーキを食べればいいじゃない」と言ったとか言わなかったとか。
どちらも白い、ふわふわした食べ物だ。しかもおいしい。
だから人はお米や小麦を、必要以上に「精米」し、真っ白にする。
僕も精米されたお米で炊く「真っ白なご飯」が大好きだったのだが
最近、精米する以前の
「玄米」を頂いて、それを50%で(精米機で)精米して、それを炊いてみたら、
薄茶色い「ご飯」が炊きあがった。
これが美味しい。
この「茶色」の中にビタミンとかミネラルが豊富に含まれている、という
知識のせいかもしれないが、美味しい。
真っ白じゃなくてもいいのだ。
ふわふわでなくてもいいのだ。
遥か昔は、栄養学 など、カケラも、なかった。
だから江戸時代には、精米された白いご飯だけを食べて「脚気」という病にかかる人が多かったらしい。
「脚気」は、ビタミン不足が原因。船乗りとかもかかった。
つまり「精米」は、ビタミンやミネラルを削る作業なのだ。
先に話した「埋葬機械」と「調理機械」が同じものだった、という話だが
極端な話、それは真実でもある。
宇宙ステーションではおしっこの水を濾過して飲み水に使う。
地球規模で考えれば、全部そういうことなのだ。
「麺」も、白くてふわふわしている。
「小麦」と「米」は、とても良く似ている。
僕は子供の頃「米」も「麺」も、一体何で出来ているのか、理解していなかった。
それでも、白くてふわふわした食べ物は、大好きだった。
今でも、大好きだ。
例え、「埋葬機械」と「調理機械」が同じものだったとしても。
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