まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

西村健太郎『週末夜汽車紀行』文庫版が発売

2011年05月26日 | ブログ

「今度の週末に新潟へ行くんやけど、どうやって行こうか思案中やねん」

クルマでの移動中、こう切り出したのは私の上司。実は私の上司はとある女子プロゴルフの応援活動を趣味としており、仕事に余裕があれば各地のゴルフコースを訪れている。この週末には新潟県は長岡で試合が行われるとかで、帰りは新潟空港から飛行機で帰阪するとして、行きをどうしようか思案中とのことだった。時間を有効に使うのであれば金曜日に少し早めに出て新幹線で東京まで移動して一泊し、上越新幹線で長岡に行こうかとも考えていたとか。

ただ結局選択肢として選んだのは大阪発の急行「きたぐに」。今や貴重な583系の夜行急行で、A寝台もあれば三段式のB寝台もあれば、グリーン車にボックスの自由席もあるという列車。この上司、以前に北陸での試合観戦の折に自由席に乗ったことがあるそうだが、盗難に遭いやせんか心配したり、夜中でも減光しないためにまぶしかったりでロクに眠れなかったとか。また寝台も割増料金を取る割には「棺桶に入れられてオレは火葬場に行くんか」という感じの狭いスペースとあって腰が引ける。でもまあ、新幹線の特急料金および1泊余分の宿泊料のことを考えて、結局はガマンして自由席で行くようである。

・・・・今や夜行列車そのものが希少価値ある中、大阪からは「トワイライトエクスプレス」は別格として、出発がえらい早い「日本海」、そして急行の「きたぐに」がある。週末にこういう夜汽車で旅立って、朝目覚めれば普段の会社とは違った世界に降り立つ・・・・なかなかいいものである。

さて、本日26日は週末の出勤のために休日の振替を行い、平日ながら休み。毎週土日と決まったものでなく、たまにはこういう平日の休日というのもオイシイ感じがする。近所を歩いていても普段見られない光景がいろいろと目に入る。日中は用事があり梅田まで出かけ、いつものごとく紀伊国屋書店へ。

すると、ありましたよ。著者のサイト(鉄道紀行舎)では「5月27日発売」と書いてあったと思うが。

Image_2 『週末夜汽車紀行』(西村健太郎著、アルファポリス文庫)

本書は昨年単行本で出版され、私もそれを読んだ感想などを2010年7月1日付記事に書き留めたのだが、このたびその文庫版が出版された。著者が週末を費やして出かけた数少ない夜汽車の風情を味わう紀行、その他に、今ではほとんどないものねだりのほんまもんの夜汽車でなくても、普通のサラリーマン生活の中で「夜汽車気分」を味わえる紀行もあり、それをサラリーマンが通勤電車の中でもより手軽に楽しめるようにとの文庫版である。

「この本は私にとって夜汽車紀行の最終章です」(文庫版あとがき)

そう言い切られてしまったら何だかとても寂しい気がするが、それが現実である。

そして現実といえば、一時の愉楽の時間が終わり、すぐにでも仕事の現実に戻される時の気だるい、後ろ髪引かれもフェイドアウトする文末。私もブログで紀行文を何回かに分けて書くが、いつも最後をどうまとめようか悩んでいる。こういう、少しの名残惜しさが「サラリーマン」の性が後々まで余韻として残るかな。

Image111 これで著者が「目標」としているサラリーマン旅行「三部作」のうち、『週末鉄道紀行』に続いて2つが単行本、文庫版ともに出そろったことになる。ただ「最後の一作」と考えているものはまだまだ先の話になりそうで、もうしばらくは「サラリーマン」としての旅の楽しみが続くのだろうか。そうあってほしい。

私もまた、こちらをバッグにしのばせて旅に出たいものである・・・。

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