まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

関西私鉄「サイコロしりとり」の旅2013秋・2-2

2013年11月24日 | 鉄道企画もの

Dscn3384Dscn3392京阪京津線の四宮から近鉄奈良線の八戸ノ里に向かう。京阪の丹波橋から近鉄に乗り換え、特急で大和西大寺まで南下する。京阪間をゆっくりと走る京阪特急に比べ、丹波橋から大和西大寺までノンストップで走る分だけ有利かなと思ったが、大和西大寺から、各駅停車しか停まらない八戸ノ里までとなると結局そこから各駅停車の旅となる。後で時間を確認したら、京阪特急で北浜から日本橋を回ってくるのとさほど変わらなかった。

Dscn3386さて、八戸ノ里といえば大商大など学生の町でもあるが、やはりここでの駅前散策は、司馬遼太郎記念館となる。部活動の練習をしている布施高校のグラウンドの横を通り、昔ながらの住宅街が広がる一角にたどり着く。

Dscn3389司馬遼太郎が亡くなったのは1996年であるが、その当時の状況で残されている書斎を外からガラス戸越しに見ることができる。ここが創作の拠点となったわけだが、かつては大阪市内の高級マンションに居を構えており、同じマンションの隣室に当時南海の野村克也が偶然住んでいたというのも有名な話である。野球に興味がなかった司馬遼太郎が出入りの記者に「同じマンションに、いつも昼過ぎに部屋を出て、夜中に帰って来る図体の大きい男がいるんだけど、どこかの肉体労働者かな」と話して、その記者がよくよく見るとその人こそ野村克也だった。記者が「あの人は南海の4番でスターなんですよ」と言っても、野球に興味がなければ何のことやら。ただその後、何かの対談で一緒になるなど親交があったり、野村克也も司馬作品の世界を采配に生かしたり、ということはあったようである。

Dscn3390その書斎を抜けると、無粋なコンクリート建築に出る。こちらが安藤忠雄設計の記念館である。ちょうど来年3月までの日程で「司馬遼太郎とモンゴル」展が行われていた。

この記念館の見どころが、高さ11メートルの3層建てに2万冊は収められているという書架。司馬作品、参考文献としての各種資料がこれでもかというくらいである。ただその資料(史料)の枠に止まらず、自身の筆で登場人物を活き活きと動かす。それも、それまで世間の人が注目していなかった人物である。それが坂本龍馬であったり新撰組であったり、秋山好古・真之兄弟だったりするわけだが、世間の好き嫌いはいろいろと分かれるようだ(高知出身の漫画家・西原理恵子が「偉大なのは坂本龍馬ではなく、司馬遼太郎の『ふかし』が」と描いていたり)。

Dscn3387かくいう私は小説よりも『街道をゆく』シリーズのほうが好きで、日本の各地を回りながら、それまでさほどスポットの当たることのなかった人物や風土について取材を通して取り上げることで、その土地について新たな見方を提供してくれていたように思う(一方で、昔からの名所旧跡とか土地の食べ物にはほとんど頓着していなかったが)。私もそれを読んで旅の行き先を決めたこともある。

今回はそのシリーズのモンゴル編ということで、取材当時の様子や取材ノート、直筆原稿などが紹介されている。映像ホールで、NHKで放送された「街道をゆく」のモンゴル編も上映されるというのでそれも合わせて鑑賞する。雄大なモンゴルの大平原の映像にうなる一方で、日本、ソ連(当時)、中国の狭間で揺れ動く遊牧民族の生き様にも考えさせられるものがあった。ただ、21世紀の今は朝青龍、白鵬、日馬富士といった横綱に代表されるモンゴル出身の力士たちの存在や、彼の国でも浸透してきた資本主義経済、最近では朝鮮総連本部をモンゴル企業が落札するとか、単に「雄大な大平原と遊牧民族」という言葉だけでは語られないものがある。まあ、そんなもんだろう。

Dscn3507せっかくなので、まだ読んでいなかった『モンゴル紀行』と、取材の時に現地ガイドを担当したツェベクマさんという女性の半生を題材とした『草原の記』を買い求める。記念館オリジナルのブックカバーで包装してくれる。

・・・さて、すっかり長くなったが、こちらの記念館での次なるサイコロである。八戸ノ里の「と」で始まるのは、

1.土居(京阪本線)・・・駅間の短いところ。

2.東寺(近鉄京都線)・・・京都の観光地、よろしおすなあ。

3.神鉄道場(神鉄三田線)・・・何やら鍛えられそう。

4.東福寺(京阪本線)・・・紅葉が見られるかな。

5.道明寺(近鉄南大阪線)・・・地元に戻る。

6.ドーム前(阪神なんば線)・・・さて、これが出るかな・・・?

実はこの日というのは大正ドームにてオリックス・バファローズのファン感謝イベントが行われていた。野球についてはグラウンドでのプレーを見ることを第一義としており、こういうお遊びのイベントは長年参加していないのだが(そんな成績のくせに遊んでいる場合か、という頭の固さ)、もしサイコロでこの目が出れば久しぶりに行ってみることにする。後は、京都の有名寺院というのもいいかな。

そしてサイコロは・・・・「1」。別に土居駅がいけないということではないが、これらの目の中ではもっとも地味な出目だろう。電車は尼崎行きということで、このまま乗っていれば大正ドームに行けるのだが、ファン感謝イベントは見送りということにして日本橋で下車。なんばウォークで昼食を済ませ、堺筋線~京阪電車で土居に向かう・・・。

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