まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第3回九州西国霊場めぐり~第6番「両子寺」(六郷満山の総持院)

2021年08月06日 | 九州西国霊場

国東半島をぐるりと回るドライブも、豊後高田市から国東市に入る。向かうのは両子山の中腹にある両子寺(ふたごじ)である。

両子寺は六郷満山の名刹の一つで、国東半島の観光スポットとしても知られているが、ここに来るにはクルマによるしかない。両子寺のホームページによれば、令和2年、国東市安岐町からのバス路線が廃止になったとある。他の交通手段として、六郷満山のいくつかのスポットを回る大分交通の定期観光バスも設定されているが、コロナ禍の影響で現在運休となっている。

坂道を上る中で駐車場もいくつかあるが、とりあえず一番上、本堂に近いところに停める。そこからいったん石段をくぐり、山門を抜けて無明橋まで下がる。ここに石像の仁王像が立つ。両子寺を紹介する観光案内のパンフレットやサイトなどはこの辺りの景色を使うことが多い。石段と木立をバックにした仁王像も、山の名刹を感じさせる。

阿形、吽形それぞれの足元に、「ご参拝の方で足腰の悪い方 この仁王像の足をさすって強い足にあやかって下さい」という札が立てられている。別に足腰が悪いわけではないが、仁王さんにこの先の道中の安全を願って足をさすっておく。

暑い中だが、青紅葉も鮮やかに見える。

拝観料を納め、石段をもう少し上がると正面に建つのは客殿。最初うっかりここが本堂かと思い、土産物などが並ぶ奥に祀られていた小さな観音像に向けてお勤めをしていた。どうもおかしいなと思いながら、終わりに近づいたところでようやく気づいた。別に慌てていたわけでもないが、不勉強なことである。

改めて、斜め向かいの建物に向かう。こちらは寺としての本堂である護摩堂。山岳修行の道場として、不動明王を本尊とする。九州西国霊場とは違うが、本堂ということで、ここで改めてお勤めとする。建物は明治の初期に焼失し、およそ20年後に再建とあるが、護摩祈祷の長年の積み重ねで天井、柱も黒くなっている。

両子寺もこれまで訪ねた六郷満山の寺と同様に、奈良時代に仁聞菩薩によって開かれたと伝えられる。鎌倉時代あたりから六郷満山の中心的な寺院となり、この前に訪ねた長安寺と同じく、戦国時代には大友氏の重臣・吉弘氏の勢力下にあった。江戸時代には杵築藩の保護を受け、六郷満山の総持院としての役割を果たすように。現在は宇佐神宮から始まる六郷満山霊場めぐりの結願の寺でもある。

ただ、九州西国霊場めぐりとしては護摩堂で終わりとはいかない。参詣案内順に従って境内の奥に進む。

続いてやってきたのは大講堂。こちらは明治時代の廃仏毀釈で焼失し、平成になって再建されたとある。先ほどの護摩堂も焼失したとあるがこちらは廃仏毀釈によるものではないという。国東半島は長く神仏習合の歴史が残り、今も息づいているというイメージだったが、やはり当時はちょっとした騒ぎはあったのだろう。大講堂には阿弥陀如来、釈迦三尊、天台大師、伝教大師像が祀られている。

少し進むとまた木々が深くなり、鎌倉時代のものとされる国東塔と石の鳥居が並ぶ一角に来る。鳥居には「両所大権現」の額が掲げられ、石段の手前には狛犬が並ぶ。この足元にも、先ほどの仁王像と同じく「強い足にあやかって下さい」との札が立っている。

石段の途中にも磨崖仏や国東塔が置かれている。この奥には細い道が続いていて、百体観音や針の耳といった奇岩を見ることができるようだ。一種の修行の道の名残だろう。両子山の頂上まで続くというが、さすがにそこまでは行けない。

そして到着したのが奥の院。現在修復工事中のようだが、建物は江戸時代、杵築藩主の寄進によるものだという。ここに「九州西国第六番」の札が掲げられている。

祀られているのは本尊の十一面千手観音像で、これが九州西国の本尊である。さらに、両子(両所)大権現、宇佐八幡神、そして仁聞菩薩が祀られている。両子(両所)大権現は双子の男女の童子像ということだが、古くから子授けの信仰を集めている。また、この一対の像は宇佐神宮由来で、それぞれ神と仏を表しているという考えもあり、また宇佐八幡神と仁聞菩薩が並んでいるのも神仏習合の表れともいえる。

九州西国霊場めぐりの中で神仏習合という言葉が何度も登場しているが、ここ両子寺でその最たるところに来たと言えるだろう。改めてここでお勤めとする。

奥の院のお堂の裏に岩屋がある。建物と岩壁の隙間のスペースが洞窟のようになっている。こちらにも千手観音をはじめとした石仏が並ぶ。元々はこうした石仏を拝んでいたのかな。

ここで折り返しとして、先ほど本堂と勘違いした客殿に向かい、九州西国霊場の朱印をいただく。両子寺はさまざまな札所になっているが、そこで見つけたのが「九州三十六不動尊霊場」・・・(またいらん誘惑が)。両子寺はその第1番である。こちらも九州各県をめぐるが、第1番から第7番までが国東半島の六郷満山の寺院で、また南九州はポツポツとだけあって、佐賀、福岡に戻ると寺院が増える構成となっている。

天念寺、両子寺と回り、今回の九州西国霊場めぐり初日の2ヶ所は完了。この日の宿泊は国東市の安岐町で、両子寺から直接山を下りれば30分ほどで着くが、せっかくなのでもう少し国東の海岸も回ってみたい。というわけで、両子寺から北の方向にある伊美方面に向かうことに・・・。

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