まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第16番「四天王寺」~西国四十九薬師めぐり・44(聖徳太子、1400年の信仰の歴史)

2021年10月20日 | 西国四十九薬師

9月30日付で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が全都道府県で解除となった。その最初の週末である10月3日、日帰りにて京セラドーム大阪でのバファローズ対ホークスの試合を観戦した。ちょうどバファローズがマリーンズとの争いの中で再び首位に立ち、イーグルスとホークスの3位争いもまだ競っていた時期だったが、この試合は3対0でバファローズの勝利(観戦記はすでに書いている)。

その1週間後に福岡で観戦した同カードはホークスが3対1で勝ったのだが、その時点ですでにホークスの優勝はおろかクライマックスシリーズの進出も厳しいものになっていた(こちらも観戦記はすでに書いている)。

そしてペナントレースも大詰め。10月19日終了時点でマリーンズにマジック6が点灯しているものの、仮にバファローズが残り3戦全勝したとして、残り6試合を全勝(または5勝1分)しなければ優勝できないという展開。逆にマリーンズが連敗でもしようものならバファローズにマジック点灯、一気に優勝・・・ということになる。最後まで期待させてくれる。あるネットの記事で、残り試合の両チームの勝敗の組み合わせが280通りほどあるそうで、その組み合わせでどちらが優勝するかというのを色分けしていたが、ざっと見て6対4くらいの割合でバファローズが優勝とあり・・(20日のイーグルス戦が敗戦となり、また少し展開が動いたが)。

さて、話を10月3日まで戻す。この日の野球観戦前に札所めぐりである。今回は西国四十九薬師めぐりでここまで残っていた大阪の四天王寺が目的地である。これまでに何度となく訪ねている寺院だが、西国四十九薬師としてはようやくお目見えである。

当初は前日に広島から夜行バスに乗ることも考えたが、ちょっとしんどいかなということで当日の早朝に出ることにした。広島6時14分発の「ひかり500号」で、指定席利用の「新幹線直前割きっぷ」が使える。16両編成の「ひかり」なので指定席の座席数も多く、好きなところを選ぶことができる。順調に各駅に停車し、8時46分新大阪着。

今回の札所めぐりでは、同じ大阪ということで西国三十三所の総持寺とセットと考えていた。ただ場所は同じ大阪でも天王寺と茨木ということで離れている。もし夜行バスで早朝に大阪に着いたならば京セラドームに向かう前に余裕で回ることができるが、朝9時新大阪スタートとなると慌ただしいかなと思う。そこで、今回は四天王寺を優先することにして、総持寺については改めて考えることにする。

新大阪からは大阪メトロ御堂筋線に乗り換えて天王寺着。ここまで来れば実家も近いのだが・・。

御堂筋線の地下ホームからJR天王寺駅のコンコースを歩いていると、巨大広告画面に「聖徳太子 日出づる処の天子」の文字と、聖徳太子らしき人物の肖像画が表示された。天王寺公園にある大阪市立美術館で開催中の特別展で、「千四百年御聖忌記念」とある。2022年は聖徳太子が亡くなってちょうど1400年ということで、聖徳太子ゆかりの寺院を中心にそれに向けた様々な法要、イベントが開かれている。四天王寺はその最たるものと言える。この特別展は10月24日までとあるので、ここはぜひ鑑賞したいところだ。ということで、総持寺には悪いのだがこの日は四天王寺一択とする。寺の参詣後、大阪市立美術館にて特別展を見て、その後で大正に出てドームに向かうコースにする。

四天王寺近くの仏具店で数珠を買い求める。実は、これまで数々の札所めぐりで使ってきた数珠(略式)が、房のところが切れてボロボロになってしまっていた。四天王寺に来たということで思い切って買い直す。

石鳥居をくぐり、西大門から境内に入る。西大門の柱の四隅には転法輪があるのだが、コロナ対策のために回すことはできない。

両脇の親鸞聖人、弘法大師に手を合わせて、中心伽藍に向かう。

数年前、これも千四百年御聖忌記念事業の一環として耐震改修工事が行われ、今また新しい姿を見せている。秋晴れの下、五重塔や講堂、金堂の朱色がよく映えている。聖徳太子の本地仏である救世観音などに手を合わせる。

その千四百年の御聖忌、100年ごとに執り行われる事業だが、その中のメインとして各宗派回り持ちで「慶讃法要」が行われる。10月18日から来年4月22日までだが、スタート、ゴール、そして命日の2月22日が四天王寺となっている。他にも三井寺、西本願寺、浅草寺、延暦寺、鞍馬寺、東大寺、金剛峯寺、知恩院、法隆寺、薬師寺、金峯山寺、醍醐寺・・・と、主に天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗系の著名な寺院で順番に執り行われる。こう見ると、現在多くの檀家・信徒を抱える宗派の中では、曹洞宗や日蓮宗の系統はないものの、聖徳太子と日本の仏教の歴史のつながりの深さ、広さがうかがえる。

そして、石舞台、六時堂に出る。四天王寺は1400年以上の歴史を持つといっても、これまで幾多の戦乱、災害、果ては空襲にも遭ってほとんどの建物が戦後の再建である。その中で江戸時代の姿を残すのが石舞台と六時堂である。この六時堂に薬師如来が祀られていて、西国四十九薬師の札所となっている。

これまで六時堂に来た時は、祈祷、供養の人しかお堂の中には入れないものの、一般のお参りは本堂のすぐ外で手を合わせていた。ただ現在はコロナ対策ということで祈祷、供養の人もお堂の中に入れず、外での受付、読経を聞く方式になっているようだ。そのため一般のお参りでは石段の上に上がることができず、その下でのお勤めとなる。

納経所に向かう。関西、大阪のさまざまな霊場めぐりの札所にもなっている。四天王寺の幅の広さをうかがわせる。

ここでサイコロ。もう、西国四十九薬師のシリーズ選択肢も絞られていて、

1、2、3・・阪神(久安寺、昆陽寺プラス西国22番総持寺)

4、5、6・・京都(法界寺、醍醐寺プラス西国10番三室戸寺、11番醍醐寺)

結局総持寺は阪神シリーズに入れた。そしてサイコロは・・・「5」。京都洛南シリーズである。どのタイミングで行こうかな。

これで四天王寺を後にして、聖徳太子の特別展が行われている大阪市立美術館に向かう。そういえば、大阪出身、在住歴長かったとはいえ、この美術館に来たのはほんの数回でしかなかった。

特別展のテーマは、千四百年御聖忌に合わせて、没後の聖徳太子信仰の広がりを紹介するものである。最澄や親鸞をはじめとした各宗派の開祖たちがなぜ聖徳太子を尊んだのか、また1400年後の人々が聖徳太子ゆかりの寺院を訪ねるのはなぜか・・ということも解くとしている。最近の学校の歴史の時間では聖徳太子についてもあまり取り上げることがないともうかがっているが・・。

「十七条憲法」や「隋書」もあるが、さまざまな展示がある中で目立つのは「聖徳太子絵伝」である。「聖徳太子絵伝」は古くは奈良時代には描かれていたようだが、現存する中で最も古いのは平安時代のものという。聖徳太子の事績について年代順に描かれていて(一部、順番が入れ替わる場面もあるが)、さまざまな伝説はここから世に広まっていったと言われる。

展示品の一つ一つの内容が濃く、じっくり鑑賞するならそれこそ1日がかりである。結局駆け足で回ることになったが、それでも1時間があっという間に過ぎていた。

最後のコーナーでは、聖徳太子が肖像として使われた明治以降の紙幣(一定年齢以上の方にとっては、これが聖徳太子のイメージだろう)も並ぶ。また、特別展のタイトルにある「日出づる処の天子」といえば、1980年代に発表された漫画「日出処の天子」があり、作者の山岸涼子さんの原画も展示されていた。この作品、学生の時に姉が持っていたのを読んだことがあるが、聖徳太子(作中では厩戸王子)と蘇我蝦夷(作中では蘇我毛人)を中心として描かれている。厩戸王子を天才、超能力者、さらには同性愛者?というキャラクターにしていて、少女漫画の世界も複雑やのう・・という感想を持ったものだ。

さてこれで大正に向かうのだが、野球観戦前の景気づけ、久しぶりに天王寺~阿部野橋に来たということで、昼食代わりにあるところにちょっと立ち寄るとするか。

その場所は、ヴィアあべのウォークにある立ち飲みの「赤垣屋 あべの店」。大阪時代には何度も通った店で、昨年のコロナ禍で営業休止や時短営業もある中で足が遠のき、そのうち私が広島に移った。それ以来初めての訪問である。

狭いカウンターやテーブル席をアクリル板で区切っているが、それでも結構な入りである。期間限定で薦められたキリンの「秋味」をベースに、小鉢料理をあれこれ楽しんだ。

そしてドームの熱戦へ・・・。

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