まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

姨捨の夜景

2012年08月17日 | 旅行記C・関東甲信越

Dscn58428月11日夜、この日は松本駅近くのビジネスホテルに宿泊。オンシーズン、そのうえプロ野球の試合もあるということでなかなか格好のホテルを探すのに苦労したが、駅近くで空きがあった。小ぶりながらも共同浴場があったり、部屋の窓からは松本駅に入る列車が見えたりと、なかなかのところである。

まずは荷物を置いて松本駅前に繰り出す。このエリア、町の中心に近いこともあるし、松本の駅自体が信州の交通の要衝ということもあってあちこちからやって来る人が多いのだろう、だから駅前に飲食店街がある。全国チェーンの居酒屋もあるし、郷土料理を売りにする店も多い。この駅前ゾーン、信州居酒屋の激戦区といってもいいだろう。

Dscn5848その中で入ったのが「信州」を前面に出していた「山里」という店。価格帯は格安居酒屋とはいかないが、信州各地(ここでは北、東、中、南に分けていた)の地場産の食材にこだわる感じがうかがえる。脇役の野菜にしても信州の農家が栽培したものを使い、「地産地消」を売り物にしている。結構人気店のようで、早い時間にも関わらず、私が入ってカウンターに陣取った後の客は、予約客でない限り断られていた。そんな中で飛び込みで入ることができただけでも「松本、やるやん」と思わせる。

Dscn5843そんな堅い店で、信州に来たならば馬刺しは外せない。「山里」での馬刺し盛り合わせは、ハラミ、心臓、大動脈という3点の盛り合わせがメインとのこと。大阪でも赤身の馬刺しくらいなら結構食べる機会があるが、さまざまな部位が出るというのは地元ならではと思う。この「山里」はほかにも鹿やイノシシ、キジの肉を使ったいわゆる「ジビエ」も味わえる。一人で来ると食べる量に限度があるのが残念で、つくづく、「こういうところは素敵な誰かと一緒に過ごしたい」と思うのである。

Dscn5844他に目を引いたのは「蕎麦の刺身」。もり蕎麦もメニューにあるのだが、蕎麦を打つ中で出てきた切れ端というか、そういうのを集めてこんにゃくの刺身風にこしらえた一品。食べる分には普通の蕎麦を切らずに伸ばしたものという感じで、これは珍しいものとして味わうことができた。これがあれば、わざわざ締めに蕎麦を注文する必要はないかな。

Dscn5847これらの一品を松本の地酒「山清」で相手にしていたが、ここで「せっかく信州に来たのだから、虫たちも口にしないといけないよな」というころで、その盛り合わせを注文。小鉢に出てきたのがイナゴ、蜂の子、ザザムシというところが、話に聞くほどにグロテスクではない。おそらく観光客でも食べられるように選っているのかもしれないが(地元の人たちが素で食うならこんなもんでは済まされないだろうが)、アルコールである程度舌の感覚をマヒさせてから一気にいただくのがいいかなと、失礼なことを考える。

Dscn5870さて松本駅前の名店の後だが、まだ時刻は早い。ここは青春18の利点を生かして何かに乗ろう・・・と思った瞬間に出てきたのが、篠ノ井線の姨捨駅。

この姨捨はスイッチバック式の駅として珍しいだけではなく、かつての「日本三大車窓」の一つ、姨捨駅から善光寺平を眺め下ろすスポットとして有名である。まして、この時期は「田毎の月」という言葉にもあるように、暦さえピタリと合えば、斜面の棚田も美しい夜景の演出手段となる。

Dscn5855普通列車があるのでそれに乗車し、闇の中を走る。そしてやってきたのが姨捨駅。

Dscn5861Dscn5888ちょうど多客期ということもあり、駅の内外は観光客で賑わっていた。やはり涼しさを求めてきたのかな。私もホームに降り立ち、北側のホームのベンチに腰かけて、善光寺平の夜景を眺める。さすがに100万ドルの夜景とまではいかないが、なんだかホッとするのである。長野市を中心とする善光寺平の皆さんも、夜景だからと特に力んでいる様子もないし。

Dscn5881ちょうどイベントの日ということか、駅舎内では何やら朗読が行われているし、ホーム上ではグラスなども利用したベル(でいいのかな)の演奏も披露されていたり。この姨捨駅を格好の避暑地として多くの人たちに楽しんでもあろうというサービス精神には感心した。

Dscn5886・・・と、そこにやってきたのが見慣れない車両。こちらはJR東日本が開発したハイブリッド型の気動車。非電化区間も混じったさまざまな路線に「営業」として登場している。この日も、この気動車を使った夜景ツアーというのが行われていたらしい。スイッチバックで引き込み線ができた姨捨、上り坂ゆえのハンデでいろいろあっただろうが、現在はこうして多くの人たちの人気スポットとまで呼ばれるようになったのは素直に喜んでいいだろう。

Dscn5890姨捨駅には1時間もいなかったが、列車行き違いもあり、再び山を越える形で松本に戻る。寝る前のオプションではあったが、何だかいいなと思った。夜景のロマンス・・・という展開にはならなかったのだが・・・・。

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