まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奈良井宿を歩く

2012年08月15日 | 旅行記C・関東甲信越

話は再び11日のことに戻る。

Dscn5778混雑した中央線の列車から奈良井で下車する。中山道69宿のうち11宿が木曽にあるが、奈良井はその中でも昔ながらの風情をよく残している宿場である。奈良井の駅からすぐのところにあるということで今回の立ち寄りスポットとした。同じように下車した人、また乗車してくる人も結構いる。駅舎も宿場町を意識したもので、駅舎内の観光案内コーナーに大きなバッグを預けて出発。

Dscn5787奈良井には昔に一度来たことがある。その時は冬場だったこともあり人通りもそれほどなく、静かな宿場町ということで気に入ったのだが、この日は結構な人通りである。夏ということもあるだろうが、中山道といえば馬籠、妻籠が有名な中で、この奈良井も観光に力を入れてきているからだろうか。

Dscn5790道の両側にはそば屋、喫茶店、土産物店が並ぶが、薬局や床屋など地元の人相手の商店もある。観光と日常がごっちゃになった感じだが、クルマや鉄道のなかった時代の中山道を行きかう人々の賑わいはこんなところだったのかなと思う。

Dscn5800Dscn5808Dscn5826こういう古い街並みをそぞろ歩くのが面白い。事前にそばの美味しい店、風情のある喫茶店などリサーチしてそこをめがけるのもいいかもしれないが、あまりそういうことを考えずに一介の旅人としてその街並みの風情に身を任せるのもいい。

Dscn5836Dscn5786街道のところどころに水場がある。地元の人たちの生活用水でもあるが、旅人も味わうことができるようだ。「飲用には一度沸かしてください」とあるが、少しならとそのまま飲んでみる。なめらかな味がする。そのままペットボトルに汲んでいくことに。

Dscn5806時折太鼓の音が聞こえる。ちょうどこの日は夏祭りが行われているらしい。「奈良井の祭りは格が違う」と描かれたTシャツ姿の若者たちが山車の周りに集まっている。これが威勢よく練り歩く・・・というよりは、少し曳いては停まりを繰り返している。何だかのんびりした感じだが、町の祭りというのはこういうものかもしれない。子どもたちが曳いたあとで、「さあみんなアイスだよ~」という光景も。

Dscn5814さらに街道を進むと一軒の民家。かつては木曽の木材を生かした櫛を扱っていた中村邸である。奈良井の典型的な民家の姿を留めるということで見学する。庇の形が独特である。

Dscn5810奈良井はNHKの朝ドラ「おひさま」のロケ地にもなったそうで、昭和初期の安曇野の町を再現するのに格好の場所だったという。この中村邸も飴屋の舞台として使われたという。案内してくれた係りの人からは、さすがに中までは作り変えることはできず(飴屋の中のシーンはスタジオ撮影だったとか)スタッフの休憩所として提供したとか、奈良井は町づくりの一環で電柱を家並みの後ろに立てているのだが、ロケの時にはわざわざ木製の電柱のセットを通りに沿って立てたとか、町の人たちも朝から夜までエキストラで撮影に協力したとか、撮影当時のことをいろいろと聞く。残念なのは、私がドラマを観ていないもので「ああ、あれがここですか」と同調することができないことだが、それだけ昔ながらの姿が残っており、朝ドラを機に奈良井が注目されることも多くなったことは喜ばしいことだろう。後は、あまりに俗化しすぎないことだろうか・・・。

Dscn5822さて、宿場の端にある鎮神社まで一歩きし折り返してくると鍵の辻のところで先ほどの山車が停まっている。カーブを曲がるから何か細工をしているのかと思って動き出すのを待つが、何やら様子がおかしい。近づいてみるとトラブル発生。木でできた前輪がバックリと割れていた。それを外してスペアの車輪をはめようと、山車をジャッキアップしたり、周りでああだこうだとやっているのだがなかなか上手くいかないようだ。

Dscn5823最後は大勢で山車を押して傾けて力技で車輪をはめこんだ。「最初からそうすればよかったんじゃ」などという声も聞こえてきた。さて仕切り直しで神社まで曳くことに。

Dscn5824またてくてくと歩いて駅まで戻る。次の列車まで時間があるが、その前に上りの中津川行きが到着していた。駅の中で過ごすよりは青春18きっぷの利点を生かして、一駅、藪原まで戻ることにする。

Dscn5840藪原も谷間の小さな駅で、小ぶりな集落が広がっているが宿場町までは少し距離がある。結局は駅舎を見るだけになったが、折り返しまでの時間、ホームで一人静かに過ごす。遠くで木を切るチェーンソーの音がする以外は静かで、ホームを涼しげな風が吹き抜ける。そういえば、中津川ではあれだけ暑かったのに木曽路に入ると涼しさを感じるようになった。駅の温度計を観ても30度を下回っている。

やってきた松本行きも先ほどではないまでも混雑していた。先頭部分に乗車し、先ほど下車した奈良井で多くの客を乗せて木曽路を抜ける。塩尻で客が入れ替わって松本に到着した・・・。

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