まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

熊野本宮と湯の峰温泉

2010年01月27日 | 旅行記E・関西

十津川村で朝の一時を過ごした後、再び熊野本宮に向けて南下する。熊野川の上流に当たる十津川に沿った走りだが、段々に渓谷が深くなる。

Dscn7001国道沿いに十二滝を眺め、これから和歌山との県境にさしかかる。改めて、奈良県の山深さを感じるドライブである。

Dscn6999その深い渓谷であるが、十二滝から見ても谷に高架橋が並ぶのが見える。これは国道168号線を「高規格化」した後の道路である。6年前に十津川ルートで熊野本宮を訪れた時にはこの道路は建設中で、バスの運転手が「橋脚一本で億はいっとるやろな」と話していたのを覚えているのだが、その道路がどうやら開通したようである。

かつて崖の道をヒヤリとしながらバスで通り抜けた国道は、きれいに舗装された高架道路とトンネルで一気に県境を越える。まあ、クルマでこうやって走る身にとってみれば時間短縮になり、おまけに無料の国道となれば「ありがたいな」と、ハンドルを握っている間は思う。しかし、ドライブから戻ってみると、こういう高架橋、そして上流のダム化ですっかり河原が干上がって砂利ばかり目立つ熊野の川を見るに、なんだか複雑な思いがする。

熊野の世界遺産登録で全国から注目され、訪れる人が増えたのは喜ばしいことであるが、それと引き換えに、沿線の開発であったり、紀伊山地の自然が機械的に切り取られていったりという事象を見るに、旅行者がこれに少し加担しているようにも思えて何だか複雑な気分である。

そんなことを思ううちに熊野本宮に到着。いつ来ても、この本宮はあっけなく到着してしまう気がするのだがどうだろうか。

Dscn7005世界遺産登録を機に整備したのだろう。木目が新しい観光センターの建物が出迎えてくれる。この向こうに、元々の本宮のあった大斎原が広がる。その象徴が、建立された大鳥居。参拝する人も口々にその大きさに感心している様子がうかがえる。

Dscn7006さてこれから本宮に参拝。ヤタガラスのいる本宮はサッカーともつながりがあり、私にとってはどうでもいいことなのだが今年はサッカーのW杯があるために注目されているようだ。それっぽい参拝客の姿も見かける。

Dscn7009境内に入り、第一社から第四社まで順番に参拝を行う。神域ということにはなっているが、伊勢神宮ほど重々しく架せられた雰囲気というのはなく、神道の元々の素朴な姿を現しているようで、訪れる人たちを温かく迎えてくれるかのようであった。おそらくそれは、境内に警備を行うような人の姿を見かけなかったことも作用しているのかな。神社に参るというのは元々オープンなことであって、そこに変に権威だの何だのというのをつけるようになったのはやはり明治政府以降の戦前の政治がさせたものかな、とも思うことがある。

ともあれ参拝を済ませ、せっかくなので少し寄り道をする。向かったのは湯の峰温泉。ここも熊野への参道にあって、温泉地も世界遺産の一つということになっている。

Dscn7023この温泉の売りというのが小栗旬・・・・もとい小栗判官の「蘇生の地」というもの。イケメンとは270度くらい違う私が書くブログなのでその辺りのいきさつはすっ飛ばすことで(私には照手姫はいないしね)、「熊野のPRに小栗旬を持って来いやー!」とわけのわからん気勢を上げるのが関の山。

Dscn7017小屋の温泉「つぼ湯」というのが有名だが、順番待ちということであきらめ、公衆浴場の中の「くすり湯」に入る。昔ながらの建物で、浴室内ではシャンプー、石鹸使用禁止ということになっている。ちょうど昼前時とあって観光客も大勢訪れており、小ぶりな浴槽はたちまち一杯に。結構熱いのだが、朝の冷える時間帯から走ってきた(十津川で足湯は使ったが)身にとってはありがたい熱さ。昔から賑わったであろう温泉の風情を味わう。

Dscn7020この温泉地の真ん中に囲いが設けられており、90度の源泉が沸いている。ここに食べ物を漬けてゆでるのが名物とかで、周りの店では玉子が売られている。

Dscn7024私も生玉子5個を200円で買い求め(スーパーの相場で行けば結構高いな)、ネットに入った玉子をここに漬ける。囲いには引っ掛け用の釘が打たれており、またネットの先にもひもがつけられており、釘に引っ掛けて待つこと15分で玉子が茹で上がるとか。その中で、夫婦連れの観光客が袋に入ったウインナーを漬けようとしていた。しかし袋が軽すぎて温泉に漬からず、「袋に穴開けようか」「そんなんしたら中の脂が出るからあかん」というやり取りがあり、「その辺の棒で押さえとこか」てなことを言っていた。でもまあ、結局あきらめたみたい。

しかしこういうところでは、地元の人たちも野菜などをゆでたりする姿が自然に見られるんだろうな。昼間の一瞬ではなく、普通の日に泊まりに来て、翌朝ともなればそういう光景も見られるかも。

Dscn7025さてその待ち時間中に茹で上がった玉子を引き上げる。これを川べりのベンチに腰掛けて一ついただくことに。茹で上がったばかりなので殻をむくのも一苦労だが、それをむくと白い玉子が出てきた。味は・・・・もう言うまでもないでしょう。BANDAGE(バンデイジ)もとい板東英二さんなんかが見れば一気に5個いってしまうやろな・・・。

結局私はここで1個食べ、帰宅後にもう1個。残りは、今回のドライブで手に入れた食材とともに「おでん」にしていただいた。いいなあ、温泉玉子。

Dscn7019小栗判官は照手姫の愛で蘇生したが、イガ栗みたいな形の頭のまつなるはテカテカの茹で玉子でうなり(何とも色気のない話や・・・)、午後のドライブに向けて、紀伊半島の東海岸を目指すのであった・・・・。(続く)

コメント