まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

江戸東京たてもの園

2008年01月28日 | まち歩き

27日は大相撲初場所千秋楽。久しぶりの横綱同士による千秋楽相星決戦ということで大入り必至、当日の自由席券を求めるのであれば夜明けくらいから国技館に並ばなければ・・・と思っていたのだが、当日は目が覚めたら「所さんの目がテン!」でアンコウの科学をやっていた・・・という始末で、どんなに急いでも当日券の前売りには間に合わないということで結局断念。

P1275970_2ただ寒いものの雲がほとんどない関東の冬の澄んだ晴天とあればどこかに出かけようということで、小金井公園にある「江戸東京たてもの園」に向かうことにする。ここには一度訪れたことがあるのだが、個人的に東京の中でも面白いスポットの一つということで、行ってみることにしたのだ。

この日は西武新宿線の花小金井駅に降り立ち、バスで小金井公園に着く。前回訪れた時はこの公園を舞台にクラシックカーのイベントが行われていたのだが、今は冬の閑散期。花も何も咲いていない。地元の少年野球チームの子どもたちが耐寒マラソンということで、公園内を走り回っているのが目に付く程度。春になれば桜のスポットとして賑わうのだろうが。

訪れた江戸東京たてもの園。まずは屋内の展示室へ。企画展で「移りゆくくらしの歴史」というのをやっており、かつての「いろりのある家」から、時代を経て「茶の間のある家」、「DKのある家」、「電化製品の歴史」ということで、近現代の家庭の変遷を実際の家財用具とともに紹介するコーナー。これらを並べてみてやはり変化の大きいのは台所回り。いかに家事の負担を軽減するかというのが、家財用具の変遷に現れているものである。どこの時代に属するかは伏せておくが、かつてを懐かしむように展示品を見て回る見学客が結構いた。

展示では「サザエさん」の4コマ漫画の単行本を史料として活用し、戦後新しい家財用具が入ってきたことのネタや、波平やマスオさんが台所に立つシーンで「これからは男も家事」というのをさりげなく描いているネタを紹介し、当時の時代背景というのが面白く紹介されていた。

P1275971さてこの江戸東京たてもの園のメインは、屋外に展示されている家屋の数々。両国の江戸東京博物館の屋外版というのもうなづける。まずは農村風景が再現された一角に向かう。ここでは藁葺き屋根の家が移築保存されており、この日もボランティアの人たちがいろりに火をくべていた。これは単なる客寄せということではなく、こうして火を焚くことで家そのものを維持するという目的がある。先月、岡山県井原市の「中世夢が原」という、中世の民家を再現したテーマパークを訪れたのだが、火を焚くことで建物に艶を出させるという話を聞いたことがある。単にセットを置くのではなく、こうした維持活動が建物を長持ちさせるものだということを改めて感じさせられる。

P1275983建物の中央は近代的な高級住宅街というイメージ。「田園調布に家が建つ」の田園調布の大川邸や、日本の近代建築に貢献した前川國男の自邸などが建つ。特に前川邸は切妻屋根に吹き抜けの居間を大胆に配した独特の明るい造りということで、見学客の姿も多い。今でも前川國男の設計による建造物が日本のあちこちに残っており、先日逝去した黒川紀章の作品と合わせて、その建造物たちを見学して回る旅というのもテーマとしては面白そうだ(全然実行には移せていないが)。

P1276004立派な庭園のある高橋是清邸を過ぎると、昔の下町の風情を再現したゾーンにいたる。荒物や、文具店、醤油店などが、かつて商売をしていた姿に限りなく近い形で保存されている。たてもの園の特徴として、かつての家を「居抜き」で再現しているということがある。当時使用していた小道具なども当時の姿に限りなく忠実に再現しているということで、いないのは店主くらいのものである。

P1276006個人的には、かつて白金で店を構えていた「小寺醤油店」の佇まいが気に入っており、味噌樽や醤油のビン、酒・ビールのビンの配置などにうならされるものである。石原裕次郎の「札幌、ミュンヘン、ミルウォーキー」というコピーのサッポロビールのポスターも時代を感じさせるものである。

P1276007その商店街の突き当りが「子宝湯」。北千住の銭湯を移してきたものだが、神社仏閣を思わせる外観は「銭湯」という言葉がよく似合う。宮崎駿の映画でもモデルとなった建物という。

P1276010ちなみにこの写真は女湯から撮ったもの。堂々と女湯で撮影できるのも、たてもの園のなせる技・・・?

P1276012_3・・・銭湯の横には、下谷にあった居酒屋「鍵屋」がある。酒を飲むことはできないが、カウンターの様子から何から、見事に居酒屋の風情である。この建物を案内する職員も絣の着物姿で(それにしても、絶対下町の居酒屋におるなあ~という感じのおかみさん的なの女性をうまい具合にここの担当に配置したものだ)、思わず「熱燗一本!」と声をかけたくなる風情。内田百閒や山口瞳など、かつての酒豪であり文豪であるお歴々も愛した居酒屋。うーん、たまにはこういう店で飲んでみたいものだ・・・・(まだまだ人生経験的に早いのだろうが)。

P1275993江戸から昭和にかけてのさまざまな建物の展示を楽しむことができて、これで400円。一通り見るだけでも最低2時間、その気になれば何時間でも楽しめるところである。東京の穴場的スポットとして、ぜひ他からの観光客にも訪れてほしいものである・・・・。

P1276020※この時期に小金井まで出たのは、2月をもって西武多摩湖線から引退するという西武101系を見ようかな~ということから。しかし江戸東京たてもの園見学後、萩山駅に出たもののその姿はなく、多摩湖線も別の車両が行ったり来たりするという運用で結局断念。後でブログを検索したところでは、午前中限りの運用とか、近くの車両区に行けば見られたとかいう情報がたくさん。うーん、その筋の人間たるもの、やはり事前調査は抜かりなく行わなければならないということですな・・・・。

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