まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

伏木と雨晴海岸

2007年12月08日 | 旅行記D・東海北陸

富山紀行の続き。

Pb175057如意の渡しを渡り終えた私と大和人さん。「富山散策フリーきっぷ」のエリアはここまでなので、再び如意の渡しで対岸に戻るという手もあるが、お互いに「北陸フリーきっぷ」に「周遊きっぷ北陸ゾーン」を持っているものだから、氷見線に乗ることにする。如意の渡しからコンテナヤードの広がる伏木の駅は近い。この伏木はかつて大伴家持も着任した越中国府のあったあたりで、北前船の時代を経て、そして今はウラジオストクへの定期旅客船(夏季)も出るなど、環日本海エリアの拠点である。

昼間の時間帯ということで本数は少なく、次の氷見行きまで時間がある。ならばしばらく駅周辺を散策することにしよう。港町ならではの古い町並みが残る。

Pb175059目指したのは駅前から延びる坂道を上がる勝興寺。高台にあがれば港の様子も見られるだろうということからだ。その途中に「伏木気象資料館」というのを見つけた。かつての測候所の建物を保存しているもので、その外観には風情がある。

Pb175060_2ただそれより驚いたのが、その敷地前に立っていた案内板。日本語、英語・・・これはまあ当たり前。韓国語、中国語・・・最近はこの両国からの観光客も多いしな。ロシア語・・・やはり彼の国と海を隔てて接している富山らしい看板やな。で、スペイン語。・・・スペイン語?船乗りを意識してのことかな。ということで、「6ヶ国語による案内板」という非常に珍しいものを見ることになった。それも、国際空港のロビーや、京都などのような外国人の大勢訪れる観光地ではなく、日本海に面した小さな資料館の前で。これには二人ともうなるしかない。

Pb175062そしてやってきた勝興寺。かつては一向宗の中でも大きな力を持った寺院で、江戸時代も前田家の保護のもと権勢をふるったという。以前訪れたときは本堂の修復中だったが、この日は青空の下、その威容を現していた。何でも重要文化財の指定を受ける本堂の中では、京都、奈良の寺院を含めて第8位の大きさとか。せっかくなので本堂にあがり、改めてその大きさを実感する。また本堂前の銀杏も鮮やかに色づいており、青空と黄色のコントラストが見事だ。先ほどの資料館の案内板といい、勝興寺の本堂といい、伏木ではうなってばかりである。

Pb175072本当はもっと港町の風情や万葉集の歴史館も見たいところだが、氷見線の時間もあるので駅に戻る。やってきたのはワインレッド色のキハ47。いよいよ、国鉄型気動車のお出ましである。

伏木の昔ながらの風情の街並みを抜けると、右手に海が広がる。これが雨晴海岸である。せっかくなので雨晴の駅で降りてこの海岸を見物しよう。同じようにここで下車する観光客が多い。で、線路を渡り海岸に下りる。

Pb175078Pb175080この日は天候に恵まれていたのだろう。海岸からは岩礁の向こうに立山連峰が広がる風景を見事に見ることができた。それだけ空気が澄んでいたということかな。しばらく海岸を散策する。この風景がこの冬の「青春18きっぷ」のポスターに使用されているのを見たのは、この少し後のことである。

雨晴駅に戻り、待合室に飾られた雨晴海岸の写真の数々を見る。特に秋から冬にかけての晴天の日には、海面からたちのぼる霧に、立山連峰から顔をのぞかせる朝日の組み合わせが美しいとか。特に元旦には初日の出の瞬間を撮影しようと大勢のカメラマンが訪れるとか。ここで大和人さんが何やらお守りを買っている。雨晴という名前が縁起がいいというので、開運、勝ち運のお守りというのがあるそうだ。

Pb175099雨晴海岸を後にし、防風林の中を抜けると氷見駅着。伏木が商業、工業の港なら、ここ氷見は氷見ブリをはじめとした日本海有数の漁港である。ただそろそろ時間も夕方であるし、不思議に雨晴を出てから、あれだけ青空が広がっていたのが急に風が強くなり、天候も怪しくなってきた。氷見は駅舎の写真だけ撮ってそのまま折り返す。すると、雨粒が落ちてきた。うーん、「雨晴らし」ならぬ「雨降らし」海岸になってしまったな・・・。

再び雨晴海岸を通ると、先ほどあれだけいた観光客が誰もいなくなっており、また立山連峰もその姿を消した。結局このまま高岡に戻ることにする。この氷見線だが、高岡大仏や瑞龍寺などの歴史のある町並み、貨物ヤード、工場の敷地の中を通ったかと思えば、先ほど通ってきた伏木の町、雨晴海岸、防風林、氷見漁港など、全線短い距離ながら実に変化に富んだ路線である。そういえばこの前「好きな鉄道路線は?」と聞かれたことがあるのだが、この氷見線を挙げるのを忘れていたな・・・。

Pb175103この後、先に乗らなかった万葉線の中伏木~高岡駅前間を乗るために、高岡駅前の停留所に向かう。この万葉線も、高岡駅前を出てしばらくは道路の上を走るが、専用軌道に入ったかと思えば小矢部川の長い鉄橋を渡ったり、工場の引込み線のようなところを走るなどなかなか忙しい。結局中伏木はそのまま素通りし、中新湊まで行ったところで反対側からライトレール型の車両がやってきたのでそれを捕捉し、折り返す。

結局、「富山散策フリーきっぷ」1000円の元は十二分に取り、これらの線に初めて乗車した大和人さんも大満足の様子。暗くなった高岡駅に戻り、急行型のボックスシートを占領して富山に戻る。高岡から富山までのわずかな距離でも特急2本に抜かれたが、その分のんびりした汽車旅の風情を味わうことができた・・・。(続く)

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