カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

そんなに悪女でもなかった   悪女について

2023-08-04 | ドラマ

悪女について/

 原作の有吉佐和子の小説は読んだことがある。はっきり言って名作である。ドラマを先に観た人でも読んでみるべきではないか。きっと楽しめるので。
 何度かテレビドラマ化されているようで、原作を知っているので、まあ、そうかもな、とは思う。それくらい面白い題材だと思うし、もちろん主人公の公子を誰が演じるのか、という事で映像化が面白いともいえそうだからである。じつは今回見たのは田中みな実演じる公子だったのだが、確かにそうかもな、ということなのである。公子という存在がこの物語のキモなので、演じるひとの印象で公子像というのは当然左右される。実際の演技がどうだというのはあるのだが、キャストの段階でこのドラマのたくらみはだいたいわかるというものだ。
 原作の小説の設定だと、少し前の時代の物語ということもあって、そういう時代の持つ不孝というのがあったのだが、今回のドラマの設定は現代になっていて、そういうあたりはだいぶ違うかもしれない。さらに公子自体をだれが語るかということで、公子の実像がずいぶん変わるというトリックがあるのだが、映像なので、そのあたりはずいぶんストレートに作り替えられている。別段不満ではないけれど、仕方のないことなのかもしれない。また、公子についてずいぶん好意的でもあって、公子の持つ深い闇というか、心の中の不幸というか、そういうあたりはちょっと希薄だったかも、と感じた。それがあっての悪女なので、結構重要という気もしたのだが……。
 女が成功して生きていく困難としたたかさが公子の魅力であるけれど、公子の基本は、それを乗り越えるための努力でもある。そういう意味でサクセス・ストーリーであるはずで、怪しさはあっても、そんなに簡単に人に文句が言える筋合いではない気もする。著名人というものは、おそらくそういうものが含まれていて、しかし他人は注目するあまり揶揄してしまう。だから時代性が変わると、公子像も変わらざるを得ないのかもしれない。そうしておそらくこの物語は、また作り変えられる可能性があるのかもしれない。
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