カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ご利用は計画的に   マークスマン

2024-04-15 | 映画

マークスマン/ロバート・ロレンツ監督

 メキシコとの国境沿いで牧場を営む男は、元海兵隊員であるらしい。時々国境を越えて入ってくる人間がいるが、自分の牧場を通っていくためなのか、警備隊へトランシーバーで密告する日々を送っている。ただこの男は、最愛の妻を癌で亡くし、その治療費で借金がかさんで首が回らない。そんなある日、国境沿いで麻薬カルテルの資金を盗んだ叔父を持つ母子が、見せしめのために命を狙われているため逃げてくる。男は国境警備隊にこの母子を引き渡すつもりでいたが、その場面で襲撃され、母親が負傷して死んでしまったうえに、マフィアの兄貴分の実の弟を殺してしまい恨みを買う。明らかにこの男のミスのために事情のある女性を死なせてしまった上に、マフィアにつけ狙われる運命の少年を助ける気持ちになり、死ぬ間際に母親から頼まれていたシカゴ(実に遠い)まで、少年を送り届けようと奮闘することになるのだったが……。
 この男は携帯電話を持たないために位置情報が無いようなのだが、クレジットカードで支払いをすると、その記録がマフィアに流れるために追われるという設定になっている。警察はマフィアに買われているものも多く、あてにならない。物語は基本的に母親が殺されて傷心の少年と、この元海兵隊の老人に差し掛かる年齢の男とのロードムービーということになる。アクションはあるが、駆け引きの要素が強く、そういう境地にある人間の心の彩を描こうとしているのであろう。
 いきなり出会う人々に、その人の事情や背景はわかり得ない訳で、マフィアに追われる母子にしたって、ふつうに密入国であることに変わりなく、こうなってしまうのは、ある程度仕方がない。しかしながら映画を観ている側の事情があって、そういう人を邪険に扱う人間こそが悪なのである。だから正義が成り立つという図式になっていて、しかしミスが多くて自分がこまねいた危機のような気がしないではない。今一つ頭が悪いというか……。しかしながら、そういう状況でないと、自分を奮い立たせる気分になれない男なのであろう。
 妙に評判がいいところもあるのだが、そういった部分に感情移入させられる人が一定数いる、ということが考えられる。いわば、俺だってやるときゃやるんだぞ、ということなのだろう。努力は計画的にした方がいいと、僕は反省をもって思う訳であるのだが……。
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