カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

お疲れ様でした。次に期待しましょう

2020-08-30 | 時事

 安倍政権の在任任期の長さという点では、確かに日本という国においては、最長であることに間違いはない。要するにそれだけ異常に長く続いたとするような言い回しはよく聞く。しかしながらその長さという尺の解釈は、ちょっと近視眼的であるような気もする。それというのも、そもそもの話、日本のこれまでの首相の在任任期のほうが、ちょっとほかの国では考えられないくらい短すぎた、ということがあるからだ。
 アメリカの大統領は、一期4年であるが、トランプさんがどうなるかはともかく、だいたい一度勝利すると、二期務める場合が多い(再選されるということ)。二期以上は務められないにせよ、一般的に8年くらいは政権を任せるべきだろうという考え方があるためだと思われる。それくらいの期間でないと業績は残せないものだし、それは長期というよりも、最低期間に近い感覚もあるのではないか。または、それくらいの年月が、一種の時代の区切りにふさわしいというか。
 大統領制ばかりではないにせよ、あんがい諸外国もそういうところは多くて、全部を調べたわけではないが、安定政権になれば10年くらいはそんなに珍しいことではない。むしろいろいろ問題があるから短命に終わるというのが普通で、さまざま任期はあるものの4.5年くらいはやるというくらいが標準的といえるのではないか。
 確かにいつまでもやっているような国はあるのだが、そういう権力の偏りのようなものがみえてくる場合でも、やっぱり15年とか20年とかいうような歳月をやっているもので、そういう場合は革命的に政権を追われるのが常で、日本のような国の制度では、これはもう起こりえない。
 そもそもだが、日本の政権の短さは、海外からは奇異な目で見られていたこともあって、それを受けて改めるべきではないかという議論はあったのである。しかし日本人というのは辛抱強くない国民性があるというか、政権の権力闘争は結構ころころ変わるところがあって、いつもいつも落ち着いていない。数が増えて安定しているように見えても、逆にコンセンサスをとるのが難しくなり、結局揺れて辞任する。安倍さんの場合は6度の選挙にすべて勝って、それで勝ち馬に乗ってきた人々が多かった関係で、ちゃんと支えてない人がそれなりにいるにもかかわらず、変わろうとする人が出てこなかった。もともと強固な派閥基盤のある人ではなかったので、選挙に勝つことで自ら権力的な地位を固めていったということができて、自民党の政治家には珍しく、極めてクリーンな政治家であったということができるだろう。これは歴史が評価することだと思うが、モリカケ問題だとか桜を見る会だとか批判があったはずだというけれど、それは単なる空騒ぎだったわけで、何も出ないのにもかかわらず、何かに忖度するような心情の人々だけが、そう思い込んだということだろう。
 ただし、その在任中の功績というのは、実際はなかなか評価の難しいものが多いのも確かだ。アベノミクスによって株価は倍加したし、多くの企業業績は軒並み最高益となった。しかし国の債務は膨れ上がり、実質賃金が上がったわけではない。安倍首相の悲願でもあった(というか自民党の党是なのだから、どの首相であっても取り組むべき問題なのだが)憲法改正も果たせなかったし、拉致問題の解決も道半ばだ。しかし、実質上集団的な自衛権は実現したので憲法を無視してよいことになったようだし、北朝鮮問題や領土問題は、誰がやっても相手が悪くてどうにもならん、といえばそうである。ほかの人になっても無視せずに取り組んでほしいものではあるけれど……。
 なんだかんだ言っても安倍首相とその周りの人たちは、辛抱強く打たれ強く働き続けてきた。だからこそ代えがたい政権になっていたわけで、あと一年の任期になっていたとはいえ、十分に全うできていたはずである。政治の問題に簡単なものはないし、今の状況も予断を許さないものだ。健康問題で辞任とはたいへんに残念であろうが、実際問題としては、自ら語られている通り、とても耐えられる状況にないのだろう。その中で状況の立て直しをほかに託すことは、つぎの団結も含めて今のタイミングだと考えたのだろう。さて、その期待に応えられる人が、本当に出てくるかではあろうが。
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