カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

馬鹿な郷愁を味わう本  ワイルドナイツ 他

2015-11-15 | 読書

ワイルドナイツ(双葉社)/ピンク・ニップル(青林工藝社)/古泉智裕著

 いわゆる成人漫画。子供や女の人は読んではいけない。というか、たぶん読んでもちっともわからない内容なのではないか。男の身勝手と性の欲求が、精神をゆがめてしまう。そうして再生するためにはやはり性は必要で、そうしてしかし、そのことに本当に自覚的にならなければ、自分の満足感というものは無い。どうして神は男というような悲しい存在を作ってしまったのだろうか。まったく罪深いものだと思う。
 それにしても情けないというかなんというか。比較的ワイルドナイツは努力のたまもののような展開はあり、バカだけれどだんだんと成長するような高揚感がある。もともと正義感が無かったわけでは無くて、ふだんは怯えてむやみに怖がっているだけだったのだが、空手を習いだして、そうして素人相手なら何とかなるような自信をつけて、そうして夜のコンビニなどに出現するようなヤンキー男を見つけると、勝手に不意を衝いて制裁してしまう。ヤンキーはふだんは弱いものをいじめて強がっているけれど、所詮は格闘技においては素人である。曲がりなりにも道場に通うような素人に毛の生えた程度の人間でも、ある程度の不意を突けば、それなりに効果的に勝ててしまう。味をしめて女と上手くいかないような時などイライラしたりすると、夜な夜な制裁を行うようになるのだが…。
 個人的に結婚を前提に付き合っていた女性はいたのだが、結婚が近づくと先に同棲を始める。ところが実に精神的に不安定なところがある女であることが分かり、とても結婚生活を無事に送れないとあきらめる。婚約も解消して別居したところ妊娠が発覚。パチンコスロットル場で働いてはいるものの、とても高給取りとは言えない生活でありながら、給与の大半は慰謝料と養育費でもっていかれることになっている。そういう不満はありながら、しかし性的な欲求は満たされることは無く、いつも何かに怯えながら、しかし激しい怒りは内包している。そういうことで、ヤンキー制裁という発散の道を見つけたということだ。徐々に力をつけていって、試合にも出ようかという展開になる。そういう中で最後に別れた女が子供を連れて会いに来る…。特に感動的ということでは無いが、絵もぜんぜんリアルさのないものであるが、ひょっとするとこれは真実の物語かもしれない。僕は薄く感動しました。
 ピンク・ニップルの方はさらにエロ漫画でどうしようもないが、そのどうしようもなさがそれなりに効いている。これは最初から高校生の女の子と付き合っており、お墓参りでも致すし、友人の家でも友人が観ている前でしてしまう。空家と思って忍び込み、実は人が住んでいたところでもしてしまう。要するにセックスのスリルを求めている訳で、自分の快楽のためになりふり構わない。それで高校生の彼女もある程度は満足していると思っている節がある。ところがある日海辺でいちゃいちゃしていると、ヤンキーの二人組に絡まれ金をせがまれて、女を置いて逃げてしまう。まあ、そういうような最悪男の末路は、やはりどうしようもない。しかしその哀愁はなんだかやはりリアルで、まったくリアルな絵柄でない漫画でありながら、その郷愁が、余韻が、涙を誘う(かもしれない)のである。少なくともあんまりこういう漫画になじみが無くて、楽しく読ませてもらいました。繰り返すが、女の人はたぶん完全に感心しないと思うので読まないように。大人の男は馬鹿なら読んでよろしい。
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