カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ひねくれても頑固でもROCKで行こう   アンコール!!

2017-01-28 | 映画

アンコール!!/ポール・アンドリュー・ウィリアウムズ監督

 気難しい性格である爺さんのアーサーは、人付き合いが下手で、ついでに自分の息子ともギクシャクした関係である。妻のマリオンは闘病で苦しんでいるかたわら、地元のポップスを中心とする歌を題材にしたコーラス隊で歌うのを楽しみにしている。ところが妻の病状は思わしくなく、アーサーは戸惑いながらもマリオンの代理としてコーラス隊のメンバーに加わることになるのだが…。
 コーラス隊を率いる若い指導者の女の先生がいて、アーサーのような頑固者のお爺さんを上手くコントロールするということもある。逆に人生においては爺さんが、助言者にもなる場合がある。もともと長い年月を経て、それなりにあった問題がこじれて絡んで一言では言えないような複雑さを呈してどうにもならなくなっているように見える。アーサー爺さんは、そのことに怒りだけでなく悲しみも同時に抱いている。上手く説明が出来ないが、息子の閉ざされた心はいまだに優しさが残っていることを感じ取っているし、自分自身が変わらなければ、人付き合いが上手くいくはずのないこともわかっているのである。
 しかしながら、今さらというか、そんなことが出来れば何の苦労はしない。嫌われたままでいようとも、歌を歌うことで、自分なりの表現が出来るかもしれない。
 そうしてコーラス隊は大会に出場しながら、ある危機的な状況に見舞われることになり、奇しくもアーサーの行動が、大きくコーラス隊の命運をにぎることになるのだが…。
 夫婦の愛の物語かと思ったら、父と子の物語になったり、このコーラスを率いる若い女性がとコーラス隊そのものの反骨精神が、英国魂のようなものだったりする。良い子のコーラス隊ではぜんぜん無くて、ロックだったりエッチだったりする歌をガンガン歌う。若くない人が歌うので、かえって過激な感じもするかもしれない。まあ、実社会だと、いくら英国でもあまり考えにくい状況かもしれない。だからこその最後の方では、一般的なコーラス隊とのコントラストが鮮やかになるわけだが、ファンタジーとしてもなかなか素晴らしい演出だったのではなかろうか。なんとなく地味な感じだと勝手に思ってたけど、わりあい過激な英国らしいひねくれた良作だと思った。
コメント
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