ほそかわ・かずひこの BLOG

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「つくる会」系の教科書は狙い撃ちされた~藤岡信勝氏

2020-04-24 11:28:02 | 教育
 安倍首相は、教科書の内容の是正を含む教育改革を積極的に進めてきた。現文科大臣の萩生田光一氏は、安倍氏の側近として、安倍氏の政治を支えてきた政治家である。だが、その安倍政権、萩生田文科省のもとで、驚くべきことが起こった。教科書改善の先頭を切ってきた「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する自由社の中学校歴史教科書が、教科書検定で「一発不合格」となったのである。また、「従軍慰安婦」という文言が教科書に復活するなど、歴史教科書の内容が反日自虐主義に逆戻りしている。
 藤岡信勝氏が詳細な経緯を下記の記事に書いているが、文科省には、左翼・リベラルの学者や教育者に同調している官僚が多くいて、巻き返しを図ってきたのだろう。
 藤岡氏は、次のように書いている。「今回の自由社不合格と『従軍慰安婦』復活は、歴史教育の改善に取り組んできた安倍政権へのあてこすりであり、文科官僚の反政権クーデターである。中国の習近平国家主席の国賓招待や武漢肺炎への対処に表れた安倍政権の対中姿勢が最大限利用され、つけ込まれている。
 安倍政権はこのクーデターを適切に鎮圧するのか、それとも官僚のいいなりになってクーデター勢力に加担するのか、瀬戸際だ。関係者からの事情聴取を必ず行っていただきたい。もし、安倍政権が今回の教科書検定結果をこのまま容認するならば、安倍政権の掲げた理念の死を意味することは疑いがない」と。
 なお、「つくる会」から分かれたグループが関わっている育鵬社の中学社会科の歴史及び公民は、ともに検定を合格した。これらの教科書の採択率が増加することを期待したい。
 以下は、藤岡氏の記事の全文。

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●産経新聞 令和2年4月10日

【正論】つくる会狙い撃ちの「不正検定」 教育研究者・藤岡信勝
2020.4.10

 令和元(2019)年度の文部科学省による中学校歴史教科書の検定結果は、この制度始まって以来の一大スキャンダルを明るみに出した。過去に3度も検定に合格し、少部数といえども実際に教室で使われてきた自由社の教科書が、平成28(2016)年に新設された「一発不合格」制度によって葬り去られたのである。
 まことに異例な、異様な検定であった。

≪中学で「従軍慰安婦」復活≫
 また、産経新聞の報道によれば、合格した教科書には「従軍慰安婦」という言葉が復活し、南京事件についての中国人の怪しげな、毒々しい証言が長々と引用され、沖縄戦は「捨て石」だったと記述された。これらがすべて検定意見を付けられることなくノーマークで通ったのである。
 平成9年、「従軍慰安婦」強制連行説に基づく記述が中学校のすべての歴史教科書に記載されたことに対する国民的な憤激を背景に「新しい歴史教科書をつくる会」が結成された。その後「従軍慰安婦」は中学校の歴史教科書からはほぼ一掃されていた。安倍晋三首相も平成28年1月の国会答弁で、強制連行、性奴隷、20万人の3つのポイントを明確に否定した。
 今回、つくる会が推進する自由社の歴史教科書が狙い撃ちされたのと、政府見解に反して「従軍慰安婦」の用語が復活したのとはコインの表裏の関係にある。「自虐史観」の克服を目指す教科書改善の流れに対する逆流が奔流となって押し寄せてきたのである。
 時代を20年前に引き戻す動きは今突然始まったものではない。5年前の26年度検定で、中学校歴史教科書に新規参入した左翼偏向の著しい学び舎の教科書が合格した。しかし、検定審議会の委員で歴史小委員会の委員長だった上山和雄氏は任期終了直後の27年4月24日付朝日新聞に登場し、学び舎の教科書が学習指導要領の「枠に沿っていない」ものであったことを明らかにした。
 それが事実なら、不合格になるはずのものだが、上山氏は、一方の極にある自由社は連続性の観点から落とせないので、バランスを取って学び舎も合格にしたという趣旨の発言をしていた。検定が実際は政治的判断で行われるということの告白である。

≪「一発不合格」の制度≫
 そして、次に狙われたのが自由社の抹殺である。26年度の検定では、自由社と学び舎が検定意見が多かったことを口実に、検定審議会は指摘数が総ページの1・2倍を超えると「一発不合格」とする制度をつくり、28年4月から施行した。こうした準備の上に、今回の検定が行われたのである。
 自由社は過去に今回を上回る多数の検定意見がついたことがあったが、70日以内に教科書を作り替えて再申請し合格してきた。今回は念には念を入れて校正したから、405箇(か)所もの「欠陥」を指摘されたのは心外であった。
 しかし、指摘された内容をみると、前回合格した記述が今回は不合格にされたほか、他社の教科書では合格しているのに、自由社であるが故に欠陥箇所とされたものが多数判明した。また、仁徳天皇が古墳に「祀(まつ)られている」を欠陥とするなど、極めて理不尽な言いがかり、こじつけ、揚げ足取りによって、意図的に「欠陥箇所」を水増しし、積み上げられていた。
 こうして、ページ数の1・2倍未満の376を29個上回る405箇所の欠陥箇所を無理やり製造したのである。これはもはや「不正検定」と断じざるを得ない。
 405箇所を検定基準の項目別に統計をとると、誤記・誤植などの単純ミスは少数で、「生徒が誤解するおそれのある表現である」などの、教科書調査官の恣意(しい)、主観、思い込みが入り込める項目によるものが292件もあり、全体の72%を占めた。ことの本質は、政治的判断による特定教科書の意図的な排除にほかならない。

≪歴史教育の改善に逆行≫
 個人の恣意に生殺与奪の権力を付与する「一発不合格」制度は憲法の禁ずる検閲である。また、国家公務員が特定の教科書会社を差別的に扱うことは、憲法第15条の「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という規定に明白に違反する。
 さらに深刻な問題は、このことがほかならぬ安倍政権のもとで起こったことである。今回の自由社不合格と「従軍慰安婦」復活は、歴史教育の改善に取り組んできた安倍政権へのあてこすりであり、文科官僚の反政権クーデターである。中国の習近平国家主席の国賓招待や武漢肺炎への対処に表れた安倍政権の対中姿勢が最大限利用され、つけ込まれている。
 安倍政権はこのクーデターを適切に鎮圧するのか、それとも官僚のいいなりになってクーデター勢力に加担するのか、瀬戸際だ。関係者からの事情聴取を必ず行っていただきたい。もし、安倍政権が今回の教科書検定結果をこのまま容認するならば、安倍政権の掲げた理念の死を意味することは疑いがない。(ふじおか のぶかつ)
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