ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

歴史教科書に復活した「従軍慰安婦」の記述を削除せよ

2021-02-16 10:14:22 | 教育
 産経新聞1月29日付は、1面トップで歴史教科書の「従軍慰安婦」記述の問題を掲載しました。「河野談話 なお論拠」との大見出しのもと、中学校歴史教科書に新規参入した山川出版社が「従軍慰安婦」の記述を復活させ、それが令和元年度検定で合格したことにつき、」この記述の削除を求めて「新しい歴史教科書をつくる会」と「慰安婦の真実国民運動」が共同で萩生田文科相に申し入れを行ない、文科省内で記者会見したことを伝えました。
 最初に山川出版社発行『中学歴史 日本と世界』で、問題の「従軍慰安婦」が記述されている箇所を示します。単元「戦時下の国民生活」の小見出し「戦時体制下の植民地・占領地」のところです。



 247ページの本文に、「多くの朝鮮人や中国人が日本に徴用され、鉱山や工場などで過酷な条件の下での労働を強いられた。①」
 その注記欄に、「①戦地に設けられた「慰安施設」には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」とあります。
 とにかく「従軍慰安婦」という言葉を復活させるために、いわゆる徴用にかこつけて註を設け、そこに入れ込んだという感じです。
 次に先の産経の記事の要点を抜粋します。
 「つくる会側は河野談話が閣議決定を経ていないことから、強制連行を否定する平成19年の閣議決定済みの政府答弁書などと比べ、文科省の検定基準が教科書の記述に求める『閣議決定などで示された政府の統一的な見解』として弱い点を指摘する。
 しかし、河野談話をめぐっては『強制連行説』が否定された後も、『広義の強制性(はあった)』とする解釈のもと、現在に至るまで見直されていない。さらに『見直すことや新たな談話を発表することは考えていない』とする答弁書が閣議決定されているため、文科省側は河野談話に閣議決定と同等の効力があるとの見方を示している。
 慰安婦問題に詳しい麗澤大の高橋史朗特任教授は『河野談話は事実の追求よりも、政治的妥協の産物だったことが明らかになっており、本来なら見直すべきだ。ただ、それ以前に政府見解で歴史認識に変更があり、政府が”従軍慰安婦”という言葉を使わなくなったのだから、教科書検定でもそれを尊重すべきだ』と指摘している」

 安倍政権が河野談話の否定・撤回または新たな官房長官談話の発表をしなかった甘さが、中学教科書に「従軍慰安婦」の記述の復活を許すことになりました。そのうえ、安倍氏が側近の萩生田光一氏を文科相に起用したのは大失敗でした。大臣になる前は、信念ある保守政治家らしいしっかりしたことを言っていましたが、全くダメです。何かよほど大きな弱みでも握られているのでしょうか。
 このままでは、次の検定で、他社の教科書も「従軍慰安婦」を復活させる可能性があります。また、歴史教科書の改善運動、慰安婦問題の誤解解消の努力が水泡に帰す恐れがあります。
 文部科学省教科書課から「つくる会」への回答は、ゼロ回答でした。また、萩生田文科大臣、加藤官房長官の回答は、その回答と同じでした。教科用図書検定基準等に基づき、教科用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されなかったものゆえ、記述の訂正を出版社に勧告することは考えていないという主旨です。
 教育評論家の藤岡信勝氏は、FBポストで次のように述べています。「産経新聞の記事からわずか1日で、『官僚の言いなりになる文科大臣、文科大臣の言いなりになる官邸』という構図が明らかになってしまった。このように政権がお墨付きを与えるなら、3年後の次の教科書検定では、中学校歴史教科書のほぼ全社が『従軍慰安婦』を書いてくるだろう。まさに1996年6月に判明した事態と全く同じで、歴史は25年間逆戻りである。これは、絶対に許せない」と。
 文科省の幹部は、前川喜平元事務次官のような左派・リベラルが占めている模様。国家公務員試験に受かれば、主義・思想に関係なく霞が関の官僚になることができる。何年後に要職に就くと、自分の主義・思想で教育行政を動かせるようになる。こうした官僚の動きを防ぎ、抑えるのが政治家の役割ですが、それが全く機能していない。民主党政権ではなく、安倍政権とそれを継承した菅政権で、こういう事態になっていることは深刻です。
わが国でも、オーストラリアのように中国共産党の「見えない手」が広く深く入り込み、国家中枢への浸食が進んでいることの一つの現われでしょう。
 教科書の「従軍慰安婦」の記述に現れている危機を打破するには、慰安婦問題の真実を徹底的に明らかにし、日本国内および世界に真実を伝え、政治家が変節できないようにするしかありません。地に落ちた日本の名誉を取り戻すため、そして病膏肓に入る日本を再生するために、慰安婦問題の解決は、真に重要な課題です。国民として声を上げていきましょう。国会議員への働きかけがポイントです。

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3 コメント

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学習指導要領を改訂すれば良くなるかも (北野川平一郎)
2022-03-04 20:31:36
学習指導要領(社会科等)の目標を改めれば、少しは改善されますかね?
小学校学習指導要領改訂案(抜粋)
第2節 社会
第1 目 標
 多面的・多角的に社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したり進んでその発展に寄与する活動を通して,我が国の歴史や伝統を大切にし,愛国心をもって主体的に生きる伝統的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
 (1) 家庭の役割,社会に対する責任,社会生活などの特質を具体的な社会機能と結びつけて正しく理解し,家庭における使命の自覚,家族や家庭を愛する心情,社会に対する責任感を養うとともに,自他の人格尊重の精神や道徳的な態度が健全な社会生活の基本であることの自覚を養う。
 (2) 社会の役割,地域や我が国の地理的環境,現代社会の仕組みや働き,地域や我が国の歴史や伝統と文化を通して社会生活について深く理解し,様々な資料や調査活動を通して情報を適切に調べまとめる技能を身に付け,社会に対する自己の使命の自覚,社会や国への帰属意識,地域社会の一員としての自覚,地域社会に対する誇りと愛情,我が国の国土に対する誇りと愛情,社会的事象を考え,主体的に自然を守ろうとする態度やよりよい社会を考え主体的に問題解決しようとする態度を養う。
 (3) 我が国の役割,我々の生活や日本の文化,伝統などはすべて歴史的に形成されてきたものであることや歴史的価値観に基づき我が国の正しい歴史や伝統についての理解を通して,歴史的価値観に基づく正しい歴史や伝統に対する誇りと愛情,日本人の精神文化を大切にして日本に誇りを持とうとする心情,日本人としての自覚,愛国心とともに,正しい国民的自覚をもって国家や社会の発展に尽くそうとする態度を養う。
 (4) 国際社会における我が国の役割や他国の伝統,文化に対する理解を通して,我が国にも,他国にも,伝統や文化の存在が共通することを理解し,自国に対して誇りと愛情をもって他国を尊重しようとする態度を養う。
 (5) 社会的事象の特色や相互の関連,意味を多角的に考えたり,社会に見られる課題を把握して,その解決に向けて社会への関わり方を選択・判断したりする力,考えたことや選択・判断したことを適切に表現する力を養う。
主な変更点
 全部「(5)」は「(2)」から移動・主に昭和四十三年小学校学習指導要領を参考にして作成(愛国心の明記・民族的自覚や心情の重視など)
中学校学習指導要領改訂案(抜粋)
第2節 社会
第1 目 標
 多面的・多角的に社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,我が国の歴史や伝統を大切にし,愛国心をもってグローバル化する国際社会に主体的に生きる伝統的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
 (1) 我が国の国土についての理解や歴史的価値観に基づく我が国の正しい歴史に対する理解を通して,我が国の歴史や伝統に対する誇りと愛情,日本の精神文化を大切にして日本に誇りを持とうとする心情,愛国心とともに,正しい国民的・民族的自覚をもって国家や社会の進展に進んで貢献しようとする態度を養う。
 (2) 我が国の政治や経済についての理解を通して,愛国心をもって積極的に国政に参加し,我が国の公民として必要とされる基礎的資質を養うとともに,我が国の平和と繁栄を願い,国民的心情の形成を図り,公共の精神に基づく自他の人格尊重の精神や道徳的態度が健全な社会生活の基本であることを自覚し,日本人としての自覚や民族的自覚を養う。
 (3) 我が国の国際関係についての理解を通して,他国に対する理解を深めるとともに,自国に対して誇りと愛情をもって他国を尊重しようとする態度を養う。
 (4) 社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課題の解決に向けて選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
第2 各分野の目標及び内容
 〔歴史的分野〕
1 目 標
  多角的・多面的に社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,我が国の歴史や伝統を大切にし,愛国心をもってグローバル化する国際社会に主体的に生きる伝統的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
 (1) 我が国の正しい歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,歴史的価値観に基づき各時代の特色を踏まえて理解するとともに,諸資料から歴史に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
 (2) 歴史に関わる事象の意味や意義,伝統と文化の特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連や現在とのつながりなどに着目して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し複数の立場や意見を踏まえて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
 (3) 歴史に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,民族的心情の形成を図り,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の歴史に対する誇りと愛情,国民としての自覚,日本人としての自覚,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深め,愛国心とともに,先人の努力に感謝して新しい時代を切り拓こうとする態度を養う。
 変更点
第1の目標については昭和四十三年中学校学習指導要領及び昭和四十三年小学校学習指導要領を参考にして作成
第2については「歴史的価値観」を重視し、「正しい歴史」を理解すること、「愛国心」の明記・「日本人」や「民族的」自覚・心情の形成、「先人の努力に感謝」と規定して自虐史観を粉砕
高等学校学習指導要領改訂案(抜粋)
第2節 地理歴史
第1款 目 標
 多角的・多面的に社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,我が国の歴史や伝統を大切にし,愛国心をもってグローバル化する国際社会に主体的に生きる伝統的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
 (1) 現代世界の地域的特色と日本及び世界の正しい歴史の展開に関して歴史的価値観に基づき総合的に理解するとともに,調査や諸資料から様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
 (2) 地理や歴史に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課題の解決に向けて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
 (3) 地理や歴史に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される日本国民としての自覚,日本人としての自覚,我が国の国土や正しい歴史に対する誇りと愛情,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深め,先人の努力に感謝し,愛国心とともに,正しい国民的・民族的自覚をもって国家や社会の進展に貢献し,ひいては伝統を下に新しい文化を創造しようとする態度などを深める。
第3 歴史総合
 1 目 標
   社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,我が国の歴史や伝統を大切にし,愛国心をもってグローバル化する国際社会に主体的に生きる伝統的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
  (1) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,世界とその中の日本を広く相互的な視野から捉え,現代的な諸課題の形成に関わる近現代の正しい歴史を歴史的価値観に基づき総合的に理解するとともに,諸資料から歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
  (2) 近現代の歴史の変化に関わる事象の意味や意義,特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連や現在とのつながりなどに着目して,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し解決を視野に入れて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
  (3) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される日本国民としての自覚,日本人としての自覚,我が国の国土や正しい歴史に対する誇りと愛情,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深め,我が国の歴史に対する誇りと愛情,先人の努力に感謝し,愛国心とともに,正しい国民的・民族的自覚をもって国家や社会の進展に貢献する態度を深める。
 変更点
「歴史的価値観」に基づく「正しい」歴史を「総合的」に理解することを明確にし、愛国心や文化遺産尊重の精神などを盛り込んで自虐史観から脱却
返信する
>北野川平一郎さん (ほそかわ)
2022-03-05 10:34:43
改善されると思います。
返信する
北野川平一郎 (>ほそかわさん)
2022-03-05 12:19:01
ありがとうございます。
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