西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

高野長英の本を読んで

2019年06月02日 | 歴史はロマン…九州の歴史を中心に

高野長英の本を読んで
吉村 昭()さんの時代小説「 長英 逃亡 」上下巻を読み終えた。移動の時に新幹線や電車の中で少しずつ読んできたのでやっと読み終えた...というところ(^^)。他にも数冊同時読みしていたので時間がかかった。
吉村さんの視点は自分の中の歴史的興味ある事象や人物に妙に符号していて不思議な感じがしている。歴史の大道ではなくて狭間とも言える余り馴染みがないところに焦点を当てている感じがある。 大先輩だから私の方が追随者(^^)
今回の高野長英......外国船が日本近海に出没し始める幕末に近い時期に幕府の異国船対応に批判的な本を著した渡辺崋山()と高野長英(夢物語)...この二人、学校で習う日本史教科書の中では点としての扱いで過ごしてしまう人物だ。 幕府に睨まれた二人のうち崋山は自刃、長英は江戸小伝馬の牢獄に永牢となる......火付け火事に乗じて逃亡した高野長英の6年に渡る逃亡生活を描く、長英の方が十分小説向き...といったところ。
私達の世代は若い頃に「逃亡者」というテレビドラマを見た経験があるから(私だけかもしれないけど)こうした逃亡物に興味があります......" リチャード・キンブル、職業 医師〜 " のナレーションで始まる...やや翳りを帯びたデビッド・ジャンセンとい俳優さんが主演でした。
 
それにしても露見すれば死罪になる可能性だってある封建時代に長英の逃亡を助ける人物の多さにビックリする、医者で儒者の長英は長崎の外国人医師シーボルト門下生時代の知己、蘭学者、医師はては侠客など実に多くの人達に庇護されながら各地を逃げ通す......しかし遂に...という物語。 解説の方が書いておられますが、" この時代に長英がいかに非凡な蘭学者で人間的な魅力に富み、その才能と人柄を敬愛する者が多かったの証といえよう "、さらに" 明治時代の文明開花を先取りした近代思想の先駆者、時代に早すぎた者の悲運"......と。 ほとんど実在の人物がたくさん登場するので興味が尽きない。鹿児島の島津斉彬や宇和島の伊達宗城(むねなり)といった大名まで関わりがある...というのも初めて知って、何故彼等が開国思想に至ったか...の根源を知る思いだった。 長英は薩摩の島津斉彬を頼りたかったようだけど丁度藩内抗争いわゆる「お由羅騒動」の時で行けなかった......なんて話を知って残念だっただろうなぁ...と思わず感情移入してしまいました😵 
 
幕府の捕縛を逃れるために自分の顔を焼いて容貌を変えてまで憂国の志しで禁じられた洋書の翻訳に携わりたかった情熱......ウーン凄い!としか言えない。幕末ものに興味がある人には面白く読めるかも...です。 吉村 昭さんの本は好み(^^)
コメント (2)
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