日本史の狭間に......「 歴史の影絵 」/ 吉村 昭 中公文庫
いつも博多〜鹿児島間を新幹線で移動しているので眠くない時には本を読むことが多い......そんな時は肩の凝らない雑誌がいいけれど、それでもある程度興味があるものでないと退屈する。ここ1週間はこの文庫本を読んだ...Book Off で108円で買った中古本だけど内容の濃さからいったら自分にとっては何倍もの価値があった。
吉村 昭さんは司馬遼太郎さんの次くらいに好きな作家、この人のドキュメンタリータッチの小品はまさに歴史の狭間に埋もれたような事象を書いてあって思わず引き込まれるものがある。この本の内容
1.無人島 野村長平
2.反権論者 高山彦九郎
3.種痘伝来記
4.洋方女医 楠本イネと娘高子
5.越前の水戸浪士勢
6.二宮忠八と飛行機
7.ロシア軍人の墓
8.小村寿太郎の椅子
9.軍用機と牛馬
10.キ-77第ニ号機(A-26)
11.伊号潜水艦浮上す
今年は明治維新150年ということで、それに関係するような幕末の勤王思想の先達「 高山彦九郎 」 について読んでみた。名前だけは聞いたことがあってもどんな人物なのかは全く知らなかったので面白く読めた。
江戸時代中期に寛永の三奇人(他は蒲生君平、林 子平)と言われていたようですが興味を引いたのはその行動力、ホントに日本全国の有志のところを巡って勤王思想を広めようとしたこと。なんと薩摩にも来ている、他国人が入りにくい時代だったはずの。当然幕府に睨まれて追われる身となり筑前久留米藩の知人を訪ねた後にその地で自刃して亡くなっている。私は古城巡りの一環として久留米城を数回訪ねたことがあるけれど高山彦九郎が久留米で亡くなったとは知らなかった......久留米には高山彦九郎の墓があるお寺があって毎年高山彦九郎の供養祭がもようされているとのこと......私の住まいからJRで近いので一度高山彦九郎の墓を訪ねてみたいと思う。
未完につき続く