西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

西部劇 27 「モンテ・ウォルシュ」

2012年11月19日 | 西部劇映画

モンテ・ウォルシュ ( ” Monte Walsh ”) 
監督: ウィリアム・A・フレーカー  シネマ センター フィルム 1970(昭和45)年製作 同年 日本公開


この西部劇はアメリカ西部の挽歌を描いたしみじみとした作品。
「 しみじみ 」 に弱い私としてはリアルタイムで見たかった・・・・・と悔やまれるもので( そもそも私の住んでいる町には来なかった )、後年ビデオで発売になった時初めて見たもの。 先頃 レンタルビデオ屋さんにジャケット違いのものが中古300円で販売されていたので買い、 DVD に録りながら再見してみた、涙が出るくらいにとてもいい・・・・・新しい時代の波に対応できない初老のカウボーイ達の不器用で滑稽な姿とそこに漂うペーソスがうまく描かれていて ” しみじみとした ” いい作品だ。 若い頃に観ていたらひょっとしてこのしみじみさは解らなかったかもしれない。

ビデオ解説文には・・・・「 時代と共に、文明と共に、何かが失われる・・・・・。男が男らしく力強く、女が女らしく心優しい、最後のフロンティア時代の老カウボーイの生きざまを、滅び行く者への哀惜の念を込めて描いた西部劇。 カウボーイの役割も時代と共に終わろうとして、生き方を変えねばならぬ時が来ていた。 男は信頼と友情を共に自由な生き方の中で愛を見つめ、女は愛を待ち続けた。しかし、親友を強盗に殺され、愛人を病気で失ったモンテ・ウォルシュは仇との最後の対決を果たし、荒野に姿を消した。古き良き時代を終わりと共に・・・・・」とあります、なかなか簡潔にまとめた文章で感心します。

<ストーリー> 
初老のカウボーイ チャック( ジャック・パランス )とモンテ・ウォルシュ( リー・マーヴィン )は雇われている牧場が東部の資本家に買収されて失業に追い込まれる・・・・・元の牧場主ブレナン( Jim Davis )は生き方を変える時が来たことを二人に告げ、「 定職を持て 」 とすすめる。チャックはそうかも知れない・・・・と金物屋の未亡人メアリー( Allyn Ann McLerie ) と所帯を持って落ち着くが、モンテはチャックに 「 誰でも年をとるぞ、いつまでもカウボーイは出来ない 」 と諭されながらも「 馬は俺の命だ カウボーイのままでいたい 」 と生き方を変えようとしない。 しかし、そんなモンテも確実に時代が変わりつつあるのを肌で感じとっている・・・・・親友のチャックが所帯を持ったことに影響されたのか ある時 馴染みの娼婦マルティーヌ( ジャンヌ・モロー )に 「 カウボーイは金にはならないが 貯まったら結婚しよう・・・ 」 ともらすのだった・・・・マルティーヌも 「 こんな私でも夢は結婚だったのよ、待っているわ 」 と応える。

牧場に残れたはずのショーティ等若手3人はやがては銀行強盗や牛泥棒をするほどに身を落としていった。ある雨の日に酒場に訪ねてきた連邦保安官を誤って射ち殺してしまう。 3人は追われる身となった・・・・・・そして 結婚して金物店の主人におさまっていたチャックに金の無心に訪れとうとう射殺してしまう・・・・・親友を失ったモンテは・・・・続く

この映画には印象に残るいい場面がたくさんある

(1)リストラされるのはチャック、モンテら 古参のカウボーイ達で 自分達ではどうにもならないところからの力(東部の資本家たち)が働いているのだ・・・・それについてブツブツ言い合うところはいつの時代も同じなんでしょう

(2)料理は上手いが風呂に入らず 体臭がひどい料理人を 皆でよってたかってとっ捕まえて水槽に放り込み 嫌がる本人に石鹸をつけて洗いたくるところは思わず笑ってしまう。後にそのコックから料理でちゃっかり仕返しを受ける一党のドタバタも笑える

(3)馬車に乗ったチャックとモンテが広い草原の柵に鉄線を張ってまわっている男に鉄線の束を届ける・・・・・ ”ファイティング・ジョー ” と名乗るその男は南北戦争で北軍のデニー将軍のもとで戦ったことだけを誇りに生きているような男だ・・・・彼にはどこか憂いがあり、2人は奴は夢の持てない時代に失望しているんだろうと話す・・・・・案の定 後に馬を飛ばして崖から転落して自ら命を絶つ・・・・時代に取り残された一人のカウボーイの最期を思わせる一シーンだ。 西部劇では南北戦争についてなるべく多くの知識を持っていることを奨める-と映画評論家の児玉数夫さんがどこかで書いておられましたがこのシーンもそんなところかも知れません。

(3)死んだ馴染みの娼婦マルティーヌ(ジャンヌ・モロー)の遺品を見るモンテ(リー・マーヴィン)・・・・涙などは見せずに一つ一つ見てゆくリー・マーヴィンの表情がいい、へたに涙なんか見せずに悲しく淋しい想いでいっぱいのはずのモンテの表情を淡々と映していく方がずっと悲しみが伝わってくる・・・・・西部の男らしさを感じさせるシーンだ。

(4)(5)

この映画は私にとって大切な1本になりました、ドンドンパチパチ 銃の打ち合いだけが西部劇ではないんだよ・・・・・とね、リー・マーヴィンとチャック・パランスそれにフランスの大女優ジャンヌ・モローがいい演技をみせている、3人とも見直してしまった。 最近見直してみたけれどやはりよかった、DVDになって欲しい作品
(2010年6月10日の記事で未完成)
コメント
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