西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

グランパ・ジョーンズ物語 (1)

2011年06月15日 | つれづれに
 Grandpa Jones 物語 (1) 
米国盤 CMH-Reecords CMH-9007 The Grandpa Jones Story (2枚組)

(1)Sweet Dreams Of Kentucky (2)My Carolina Sunshine Girl (3)Jesse James (4)Raining Here This Morning (5)Eight More Miles To Louisville (6)Tragic Romance (7)Kentucky (8)Old Rattler (9)Mountain Laurel (10)I'm On My Way Back Home (11)Sweeping Through The Gates (12)There's A Hand That's A-Waiting (13)Old Camp Meeting Time (14)Closer To God Than Ever Before (15)I'll Meet You In The Morning (16)You'll Make Our Shack A Mansion


最近いつも持ち歩いていた英和辞典とグランパ・ジョーンズのレコード解説記事コピーのおかげで 今回の不慮の入院中は暇つぶしに翻訳をすすめて退屈しのぎになりました。
グランパ・ジョーンズは Country Music の世界では実に得がたいエンターテナーでしたので 既にご存知の方も今回初めて知った-という方にも原文をなるべく省略しないで できるだけわかり易くするために私なりに調べた補足(*)を入れながら4回に分けて載せることにしました。

Story の源は1976(昭和51)年にアメリカのCMHレコード社というところから出された「 The Grandpa Jones Story 」なる2枚組LP(写真)の解説です・・・・・現在カウボーイコーラスグループ Riders In The Sky のリーダーとして活動している ”レンジャー”ダグ こと Douglas B Green が書いているんですね。 それに1992(平成4)年にMCAレコード社( 昔の Decca Records )から The Country Music Hall Of Fame シリーズの一環として出されたグランパ・ジョーンズのCD解説 ( 写真は次回載せます ) を加味しましたので Country Music の歴史の一面を知るという意味で楽しんでもらえると嬉しいです。 グランパ・ジョーンズのスタイルは現代の Country Music 界では lost art になってしまったものですが、若い頃から田舎のお爺ちゃんスタイルにメーキャップしてバンジョーをかき鳴らしながら陽気に歌うパフォーマンスがどのようにして誕生したのか-が解って興味深いものです。

私もグランパは大好きでレコードもけっこう集めました・・・・・レコードは手持ちのものからデジカメ撮影して載せました。    以下訳

Grandpa Jones はカントリー ミュージックの世界では最も忘れ難いキャラクターでしょう(always been something of an enigma とも表現)。世界で最も有名なバンジョー奏者のひとりでしたが、プロになって8年たった1937(昭和12)年になって初めてバンジョーを弾き始めたのでした(それまではギター)。いまや彼も本物のお爺ちゃん(grandfather) になってしまいましたが、このカラフルでユーモラスなケンタッキー人は22才の頃からステージ上で自分の年齢よりもずっと昔の時代人を演じることに人生の大半を費やしたのでした。 Old-time Country Music の大家の一人でもあり、時にはドタバタ喜劇 時には ” Hee Haw ” のような巧みなテレビショウなどに携わってきたことに誇りをもっている人でもあります。しかし、こうした謎めいた人物を端的に説明しようとする時 昔の学校のエンターテナー(先生?)に例えるといいでしょう-即ち懸命に働き、とても多芸多才でとりわけ適応力があるということ。彼の50年に及ぼうかというキャリアの中で抜きん出た人気の持続の秘密がどこにあるんだろう-と説明するならそれは持ち前の適応能力にある-といえると思います。

Louis Marshall Jones は1913(昭和2)年10月20日にケンタッキー州北西部の小さな町 Niagara に10人兄弟姉妹の末っ子として生まれました。彼のルーツはどんなカントリー歌手よりも Country(田舎)だったといえるでしょう・・・・・子供時代のジョーンズ家は家を持たず ケンタッキーやオハイオ河を渡ったインディアナ州 Evansville 近郊で小作人として あるいは材木の仕事に従事してあちこち転々と移動する生活だったといいます。この時代とこの地域の多くのファミリー( すぐに思いつくだけでも Bill Monroe 、Merle Travis 、Everly 兄弟など )と同じように彼の家族にも多くのアマチュア音楽家がいました・・・・・父親の David Clifton Jones は Old- time fiddler(カントリースタイルのバイオリン奏者) でしたし、母親も old-time fiddler の娘で 彼女自身も演奏したといった具合です。 両親の影響もさりながら、彼が初めて真に音楽的な感化を受けたのは製材所のオーナーの息子達からでした・・・・・すなわち Wilbert Howard が弾くギターと Joe Lee Howard が弾くアコースティック ハワイアンギターです。ライブ音楽の楽し味を知ったのもこの頃でした。  彼が人前で演奏する経験をしたのは11才頃のことで、近所に住む Miff McKinley という名のギター&ハーモニカ奏者と組んでダンス会場で演奏したのが初めてでした。母親が Cheap John's と称する店で75㌣くらいのギターを初めて買ってくれたのもこの頃でした。  稼ぎのよかった兄達からの手招きで彼が10代の頃にジョーンズ家はオハイオ州 Akron に移り住んでいます。

シカゴの WLS Barn Dance (1924=大正13年にイリノイ州シカゴで始まったカントリーミュージックのラジオ番組で Grand Ole Opry の前身になったもの)から流れる音楽と 姉が買ってきたジミー・ロジャースのレコードは彼に大きな影響を与えました。当時、ミュージシャンを目指す数多の人達と同様に 彼もジミー・ロジャースの Blue Yodel を真似てヨーデルの訓練に余念がなかったのでした。その結果ヨーデルのテクニックは上達し、今日に至るまで唄っているのです。 彼曰く、「 ジミー・ロジャースの唄はステージにあがる毎に今でも歌っているよ。”My Dear Old Southern Home ” なんか特にね 」とのこと。 1923年に ”It Ain't Gonna Rain No More ”という唄をヒットさせて自らを ”The Red Headed Music Maker ”と名乗った Wendell Hall (1896~1969 年カンサス州出身のカントリー歌手の草分けの一人、今ではほとんど忘れられていて私も初めて知りました) が歌手兼ホスト役を務めるタレントコンテストに出場して、当時流行りだった Jimmie Rodgers Song のギター、歌、ヨーデルを認められて優勝し50ドル獲得したのは1929(昭和4)年のことでした。 その時歌ったのは ” Going Back To Texas ” と ” My Dear Old Southern Home ”の2曲で・・・・・思い出しながら曰く、「 50ドルもらってね、そりゃもうすっ飛んで行ってもっと上等のギターを買ったもんさ 」・・・・・とのこと。

コンテストに優勝して有名になると すぐにダンスやハイスクールでの集まりのほか、ノーギャラではありましたが Akron の WJW 放送局で「 Young Singer of Old Songs 」という早朝番組の仕事が舞い込んできたり、その地区で夜の出演契約も結ぶこともできたのでした。

彼が歌った唄は the Vagabonds (1920年代のカントリーバンドでポップスとカントリーを mix した初めてのバンドといっていいもので 後のC&W music に影響を及ぼしたと言われるそうです) のセンチメンタルな唄とか Bob Nolan のペンになる the Sons Of The Pioneers のカウボーイクラッシックソング、 それにもちろんジミー・ロジャースの Blue yodel song といった 当時のモダンソングだよ-と彼自身が強く主張しているものですが、自ずと ” Old-time ”と呼べるものでした・・・・・・・・・・・次回に続く

<ひとこと> このレコードは十八番の ”Mountain Dew ”が入っていないとかでグランパ・ジョーンズの Best Of とは云えないんでしょうが彼の音的な歴史となっているようです。解説の後には各曲についてグランパ自身が語ったコメントが載っていてこのレコードをより一層豊かなものにしています。大変いいものでCDにもなっているかも知れません
コメント (3)
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