西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

つれづれに ( 映画 「 十三人の刺客 」 を見る )

2010年10月03日 | つれづれに
時代劇 「 十三人の刺客 」

日本映画に時代劇が花盛りになっている・・・・・いまは亡き作家 藤沢周平さんの原作をもとにした時代劇映画「たそがれ清兵衛」あたりからそんな傾向になってきたと思う。作品の出来、不出来には差があるけれど時代劇を見直すきっかけにはなっていると思う・・・・・CG(コンピューターグラフィック)を駆使したやたら派手なアクション映画にうんざりしている-という気分もあるかも知れない。僕自身は特に時代劇が好きという訳ではないけれどアメリカに西部劇がなくなったのと同様に日本に時代劇がないのはクリープのないコーヒーみたいで(古ッ!)何かが足りない-芯が抜けている-ような感じを持っているのは否めません。 世界に出しても恥ずかしくないのはやはり良質の時代劇かなあ-と思います。

というわけで10月2日(土)にいま話題の「十三人の刺客」を見に行った。1963(昭和38)年公開の工藤栄一監督の東映映画「十三人の刺客」のリメイク・・・・昭和38年といえば私が14才(中学生)の頃だけど この映画のポスターすら見たことがありませんでした(父なんかは映画を見たかもしれない)。

後年 文春文庫が出していた映画の文庫本に ”大アンケートによる名画ベスト150 ”( 洋画編、邦画編、中上級編と3冊あった ) があって、その第3弾 中上級編の邦画のベスト1がこの「 十三人の刺客 」になっていました。 前の2冊で150位以内にかすりもしなかったけれど、各人が心の中に大切にしまっておいた ”とっておきの映画 ” なんて表現がしてありました・・・・・その本の中から・・・・・あらすじは

「 将軍の弟である異常残忍で好色の暴君明石藩主 松平斉韶(なりつぐ)は老中職を約束されているが、もし彼が老中になれば政(まつりごと)は必ず乱れる。 そこで幕府の老中 土井大炊頭は目付 島田新左衛門に暗殺の密命を下す。彼は自らの他に十二人の刺客を集め、中仙道 美濃の落合宿を買い取り、そこへ参勤交代の帰途につく明石藩主従一行53名(リメイクでは200名になっています)を追い込んで失敗が許されない死闘をくりひろげる・・・・」というわけなんですね、イヤーこれだけ見ただけで血沸き肉おどるような面白そうな内容なんですね 。

本には(当時の作品に対する)数人の作家、映画評論家による対談が載っています・・・・・「 それまでの東映チャンバラが様式美で来たのに、リアリズムでやった。集団でみんなくたくたになるまで戦って・・・・明石藩の方も自分の殿様が悪いということは百も承知だけれども、侍としての自分を通すという形で対決していく・・・・きれいで楽しい絵空事を前提とした(当時の)時代劇全盛の時代に 生きた人間の血をまざまざと感じさせたのだ・・・・・」 など。
これを読んでビデオ屋さんに走り借りて見たことがあります、DVDが出た時は衝動買いしてしまったのでした。

今回のリメイクは突然知って オーッと思ってワクワクして見に行ったのでした・・・・・各人の侍らしさは旧版に軍配・・・・・名優揃いですからこれはしょうがないです、でも純粋な娯楽作品として見れば面白いのは同じ。 リメイクで??と感じたのは早い段階から自分達(明石藩)の殿様が狙われていることが露見してしまっていること、バカ殿様(SMAPの稲垣吾郎が好演)が最後のところでもっと怯えて周章狼狽した方がよかったのでは、13人目の山猿みたいな人物の存在はちょっと疑問、もっと違った人物のほうがよかったのでは・・・・・などなどアラも目立ちますが娯楽作品だから全体的にはOKかな。 感想などはたくさんの人が書いておられますのでそちらを参考に・・・・よかった、つまらなかった、人それぞれです。 

チラシによると全く荒唐無稽な話ではないらしくモデルとなった事件があるそうです・・・・・松浦静山という人の「甲子夜話」という書物に ”11代将軍 徳川家斉の25男で明石藩第8代藩主 松平斉宣が参勤交代で尾張藩を通過中に行列を横切った3才の幼児に斬り捨て御免を行なって殺害してしまう。その処置に尾張藩は激怒し御三家の面子にかけて・・・・・” といった事件が載っているとのこと。
リメイクの監督は三池崇史。ちなみに、旧作の工藤栄一監督には集団抗争時代劇3部作というのがあって、63’の「十三人の刺客」、64’「大殺陣」、67’「十一人の侍」だそうでいずれもリアル時代劇。
コメント
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