梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

価値観と覚悟

2011年04月16日 12時23分23秒 | Weblog
よく価値観が変わると言いますが、その価値の尺度が予め想定されているものと想定されていないものがあると思います。今回浦安地区の地震による液状化は、ここに移り住む際、つまり不動産を買い求める時に、想定した人はどれ程いたでしょうか。

現在の新木場にしても浦安鉄鋼団地にしても、元々都心近くに在った木材や鉄鋼業者が、そこの都市化によって集団で移転して来たものです。移転先は、更なる規模の拡大や交通の利便性を考えたら、新たに東京湾を埋め立てした湾岸地区に移したことは理に叶ったものでした。

昭和の時代が終る頃、浦安の埋め立て地区には新たな住宅地が誕生しました。東京ディズニーランドが開設されて以来浦安市のイメージは一変して、都心から近いこともあり、一時期は高級な住宅地として脚光を浴びました。その後も、この地区での宅地の供給は増え続けました。

不動産を購入する際取得価格は当然重要ですが、交通の便や周囲の環境や街のイメージ等など、多くの選択要因はあります。しかし万一の天災を考えて選択する人は多くはないでしょう。ましてや浦安に於いての地震による液状化のリスクを想定した人は、限りなく少なかったことしょう。そして浦安の土地に対する価値観や評価は、今回の震災で大きく変わってしまったことも事実です。

賃貸でその不動産を借りているのであれば、今回の様なケースは他へ移り住めばいい訳ですが、自己所有している場合はそうも行きません。逆に言えば不動産を取得してそこに拠点を構えることは、万一の場合は覚悟を決めることに他なりません。

今後もしもの場合ですが、今まで以上の余震が関東近くで起きたとしたら、また東京湾に巨大な津波が発生したとしたら、液状化以上の災害をもたらすことは明白です。この様に天災は、何処に居ても避けられるものではありません。しかし避けられない天災に備え、その人災を極力回避することは可能です。

あらゆる想定をして価値観を普遍のものとすることも大事でしょう。その上で心構えの問題である、覚悟を決めなくてはならないと思っています。
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