風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「九月が永遠に続けば」

2011-11-23 | 読書
一気読み。
ホラーというか、ミステリーというか、
エンタテイメントの形をとってはいるが、
実際には人の心の闇や孤独を描く文学作品と感じた。
この作品がホラーサスペンス大賞を取った時の審査員で
本作を絶賛したという桐野夏生さんのように。

そしてこれはまた女性にしか描けない世界。
人間関係や登場人物の周囲の社会がやたら狭いけど
実際そんなもんなんだろうな。
男は外に目を向けがちだからわからないだけで、
内面や周囲に目を向ける女性ならではの視点を感じる。

あえて難を挙げれば、文彦がかっこよすぎ。
あんなに大人の男子高校生などいないと思った。
まるで少女マンガの相手役。
だって彼らもあと何年かしたら
他の登場人物の大人の男たちのようになるんだから。
高校時代の男なんて、カンザキミチコと同じで
自意識過剰で、醜悪で、恥ずかしい存在で、幼くて・・・
ってのは自分だけかも知れないが。

それと、タイトルが少しテーマとずれてるかな。
「気持ちはわかるけど、ホントにそれでいいの?」って感じ。
でも、これもまた女性ならではの視点なのかも知れない。

「九月が永遠に続けば」沼田まほかる 著 新潮文庫
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