風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ガリ版

2022-11-25 | 文化

私の両親は教員だったので
テスト問題作ったり、課題や資料作ったりするために
自宅にはガリ版のヤスリや鉄筆があった。
ガリ版とは正式名称が謄写版印刷(孔版印刷とも)といい
蝋が塗られた原紙をヤスリ板の上に置いて
鉄筆で字を書いて蝋を削り、
写真左の印刷板に原紙を貼り付けて下に紙を置く。
上からローラーでインキを塗ると、
蝋が削られたところにだけインキが乗るという印刷方法。

・・・という説明しないと、今じゃわかる人少なくなったよね😅
でも、いわゆるワードプロセッサーという画期的な機械が
普及してきた1980年代後半以前は
これが一般的には身近な印刷方法だった。
私が高校時代に友人たちと作った文芸同人誌も
大学の頃に、やはり友人たちと作ったミニコミ誌も
すべてガリ版で作ったものだ。


この写真は大学1年の頃に作ったミニコミ誌。
袋綴じで、30数ページあったかな。
すべて(ほぼ徹夜で)私が書いた(描いた)ものだ。
なにしろ鉄筆持っていたのは私だけだったし。
そして大学の印刷室を借りて、確か50部ほど印刷した。

ガリ版の原紙はのちに鉄筆を使わなくてもいい
ボールペン原紙が発売されてさらに一般的なものとなり、
「プリントごっこ」と名付けられて商品化。
年賀状需要で爆発的に売れたものだった。
それも90年代ぐらいまでかなぁ。
まだ姿形すらなかったスマホはもちろん、
PCですらまだ持っている人は少なかったけれど、
ポータブルWPがカラー印刷できるようになってからは
一気に時代はデジタル化した。

でもね、ガリ版の暖かみある印刷風味は
なかなか悪くないんだよね。
活版印刷の文字のくぼみやシャープな線と同様
ひとつの文化じゃないかと思うんだ。


この写真は戦時中に花巻で発行された文芸同人誌。
「漂泊の教師」と言われた白樺派自由主義の教師赤羽王郎氏が
当時の花巻の青年たちとともに作ったものだ。
同人には宮沢賢治の弟清六氏や
新俳句で知られた俳人加賀谷灰人氏などとともに
私の父もいた。
この同人誌全体がなんとガリ版作りなのだ。
表紙のカラーイラストも❗️
赤羽氏はガリ版の高度技術者としても知られていて
こんな技を持っていた。
ガリ版を極めるとこんなこともできる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 花巻市青少年郷土芸能フェス... | トップ | モノサシ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

文化」カテゴリの最新記事