風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「欲望」

2013-07-18 | 読書


相変わらず小池真理子さん。
この作品は「恋」「無伴奏」とともに
1970年代が舞台の3部作と言われている。
自分が読んだ中では
望みは何と訊かれたら」もその頃が舞台。
以前も書いたように
その頃の情景が、ちょっと下の世代の自分にも
センチメンタルに映る。

さて、小池さんは三島由紀夫が好きとのこと。
実際この作品の底辺を流れるモチーフも三島だが、
(しかも行動派の三島ではなく耽美派の三島)
一読してひと言で言い表すと
「女性が描く1970年代の三島由紀夫」的物語。
相当影響を受け、あえて三島的作品を書いたのだろう。

男性の生理的な部分について、若干事実誤認があるけれど
その「誤認」が無ければこの物語は成立しないから
まぁそこは仕方ない。
直木賞を取った、作者の代表作「恋」よりも
自分的には気に入ったな。
美しく切ない物語。

「欲望」小池真理子:著 新潮文庫


ところで、とても気に入った作家を見つけた。
これまでも何度か取り上げた方だが、
昨日読み終えた作品が今もじんわり心に沁みている。
「あぁこの人の書き方や感性、好きだな」と思った。
感想はまた後日。
コメント
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