風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

なぎさ昇天

2010-04-12 | 読書
ごめんなさい。
今まで何度か「なぎさの媚薬」シリーズを取り上げ
まったり紹介してきたけれど
最終巻となる本作を読み終えてまずは謝罪したい。

今までは本シリーズを
「おじさんのメルヘン」とか
「1話ごとに読み切りだからどれ読んでもOK」とか
「あっちよりこっちの話の方が好き」とか
まぁ勝手なことを述べていたのだが、
第8話となるこの最終章を読んでみて
これまでの印象ががらりと変わった。
これは8巻を通して読むべき超大作だった。

「苦くて甘酸っぱい青春の思い出を艶やかに語る
 これもまた重松ワールド」
なーんて能天気なこと言ってたけど、
実は、これまた重松さんが得意な
人がそれぞれ心に負った深い傷による
「生きる悲しみ」を描いた作品だったようだ。
ひとり自分の思い出に重ね合わせて
ノスタルジーに浸っていた自分を恥じたい。

もちろん、ますますお勧め。
以前は「女性にはつまらないかも」と書いたが
1~8巻を飽きずに(笑)「何コレ」と思わずに
読み通してみて始めてこの作品を理解できると思う。

「なぎさの媚薬8~なぎさ昇天」重松清 小学館文庫
コメント
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