風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

今日の書評欄より

2005-02-27 | 風屋日記
朝日新聞の書評欄より。
考古学者佐原真が書いた「戦争の考古学」をコラムニストの栗田亘が紹介。

「初め戦争はなかった。
 人間は、農耕や定住がもたらす富や不動産によって後天的に戦争を始めた。
 ゆえに戦争は人間の意志ひとつで廃絶しうる。」

佐原真が繰り返し説いたことばだという。
至極明解にして単純、そりゃそーだ。

「本書冒頭の『ヒトはいつ戦い始めたか』と題した文章で彼は、
 450万年の人類の歴史のうち戦いの歴史は最近の8千年に過ぎないと書く。
 『それは、翻訳すると4.5メートルの中の8ミリである』」

この時間感覚を前にしてボーゼンとしてしまった。
それにしても、文部省唱歌「村の鍛冶屋」の3番というのは初耳だった。
佐原真が「ねぇ、ねぇ、知ってた?」と目を輝かせて周囲に教えたという。

~刀は打たねど 大鎌小鎌 馬鍬に作鍬 鋤よ鉈よ
 平和のうち物 休まず打ちて 日毎に戦う 懶惰の敵と~

いいなぁ・・・。
寡黙な職人が、自分の仕事の理念に厳格に徹する姿が思い浮かぶ。
「頼まれたって武器なんざ作るもんか」みたいな。

「戦争の考古学」は岩波書店刊行、金関 恕・春成秀爾 編。
「佐原真の仕事」(全6巻)シリーズのうちの1冊、2,940円。
 
コメント
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