昨日はJAZZ話だったが、今日は・・・
その男は貧しい母の元に生まれた。
母は再婚相手を求め続け、
最後には同じく貧しい農民と再婚するのだが、
男は土と生きることを良しとせず、ギターを手に取った。
10代で結婚し、妻は身ごもったが、出産時に子とともに世を去った。
またひとりになった男はギターを抱えて酒場から酒場へ。
下手くそと罵られ、出入りできる店も減っていった。
ある日男はその町から姿を消した。
1年後、男は以前の店に戻ってきた。
1曲ギターを弾いて歌っただけで店中が踊り出す。
かつて罵っていた先輩たちは驚いた。
まるで2人で弾いているような超絶テクニック。
1年前とは別人になっていた。
いつしか伝説が生まれた。
男は交差点(Cross Road)で悪魔に魂を売り、
その代わりギターのテクニックを身につけた・・・と。
町から町へ、男は演奏して回った。
新たに惚れた女を見つけ、彼女はお腹に子を宿した。
しかし彼女の親は悪魔に魂を売った男との結婚を許さなかった。
男は孤独だった。
酒場ごとに人気を博してはいたが、酒と女に溺れていった。
噂を聞きつけたレコード会社の勧めで、
2度にわたりオリジナル29曲を録音。
それが国中の評判になる前に
手を出した人妻の夫によって27歳で毒殺された。
1939年、レコーディングの1年後だった。
男の名はRobert Johnsson(RJ)。
伝説のBluesmanだ。
先輩BluesmanだったCharley PattonやSon Houseをも
驚愕させたテクニックと歌。
のちにBluesという音楽をメジャーなものにし
現代のロックにも多大な影響を与えたMuddy Watersは
RJに憧れてBluesを始めたのだという。
またエレキギターを使い始めたミュージシャンのひとりである
Elmore JamesもまたRJに憧れ
彼の代表曲「Dust My Broom」はRJのカバーだった。
(今もたくさんのミュージシャンにカバーされている)
RJのフォロワーとして
Eric ClaptonやThe Rolling Stones、Jimi Hendrixなど
著名ロックスターたちが有名だが、
実はBob DylanもデビューアルバムではRJをカバーしている。
「27club」と言われる人たちがいる。
みんな27歳で早世した天才ミュージシャン達だ。
The Rolling StonesのリーダーだったBrian Jones、
Jimi Hendrix、Janis Joplin、
そしてThe DoorsのJim Morrisonなどなど。
その「27club」の最初の代表的な人物がRJと言われる。
亡くなったそれぞれがみんなRJに影響を受けている。
これはなにかの符牒なのだろうか。