世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

鉄道路線や川の流れ方が奇妙な窪川ですが造り酒屋の白壁の美しい町です

2013-10-06 08:00:00 | 日本の町並み
 疎水に沿った町並みに、個性的な建物が残されているのが北白川でした。北白川疎水は、大都市の流れにしては、まだまだ綺麗な水が流れているように思います。流域の人口と水の綺麗さとは反比例をするようですが、四国の西側の人口の希薄な場所を流域とする四万十川もその例に漏れず清冽な流れで有名です。今回は、四万十川の流域にある町の中で、漆喰壁の土蔵に水きり瓦が美しい窪川を紹介します。

 窪川は、町村合併により現在は四万十町の一部になっており、高知市と足摺崎の中間辺りにあります。香川県から高知市を通り抜けた土讃線の終点がもより駅になります。ややこしいことに、高知県には四万十市もあって、四万十川の河口あたりにあります。さらに奇妙にも、四万十川は、四万十市で海に注ぎますが、源流は四万十町の北にあって、いったん南下して四万十町を通った後そのまま海に向かうのかと思いきや、再び北上して江川崎あたりまで内陸に入り込みます。宇土線で宇和島から窪川に向かって乗車をすると、愛媛と高知と分ける山岳地帯を過ぎたあたりから四万十川と併走します。峠越えをしてきたので感覚的に川下に向かって走っているものと思いますが、実は列車は川上に向かって遡上しているのです。この宇土線が、またまた奇妙で、ほとんどの列車は宇和島駅から窪川駅まで走っているのですが、終点の手前の若井駅で宇土線はおしまいで若井ー窪川間は三セクの土佐くろしお鉄道線になります。JR線は香川県を起点に愛媛県から高知県を一周しているものだと思っていましたが、1駅区間で切れていたんです。

 
 
 古い町並みは駅の南西側、西に流れて四万十川と合流する支流の南側に沿って延びています。板壁の上部が漆喰塗りの建物や漆喰のなまこ壁がある造り酒屋、それに土蔵造りに水きり瓦のある蔵と思しき建物が残っています。水切り瓦は高知県の東の室戸岬に向かう途中の町でよく見ましたが、西のほうの土蔵にも付けられていました。これらの建物以外は、木造の建物が雑然と並んでいますが、かつて当たり前であった町の顔も、今では少なくなってしまったのかもしれません。


 
 この町並みの南側、土佐くろしお鉄道の線路の北側に接して四国37番札所の岩本寺があります。少し小高い境内からは、窪川の町並みが望め、晴れていれば気持ちのよい空間です。お寺は、四国の札所でよく見かける雰囲気ですが、他のお寺ではあまり見かけない円形のお堂があります。歓喜天をお祭りする聖天堂です。日本では、円形を作りにくい木造のお堂が普通なので、興福寺の北円堂や南円堂といっても多角形ののお堂なのです。こちらのお堂は基壇や屋根は完全に円形で、お堂も一部がゆがんでいますが多角形ではありません。

 
この岩本寺の近くの町役場であったか?、その近くの建物であったか?、記憶が曖昧なのですが、開放された建物の座敷にお雛様が飾られていました。高知県では、他の町々でも町じゅうにお雛様を飾って公開しているおうちを見かけましたし、鹿児島の知覧でも同じような飾りがありました。新潟県の村上の町家では、屏風まつりといって、お雛様ではなく屏風を飾って公開しています。準備するほうは大変でしょうが、旅人にはうれしい行事に思います。

 円形というのは、同じ面積の図形の中で、最も外周の長さが短い図形です。従って、岩本寺の聖天堂は、平面が同じ面積の他のお堂に比べれば、外周を覆う木材も少なくて済んだはずです。一時期、この理由もあってか、円形の校舎があちこちで建てられたことがありました。ただ、内部の教室が扇形となって、無駄なスペースが増えて、結果的に得にならないという理由でしょうか、短い時間で淘汰されたようです。初期のブラウン管ディスプレイは円形だったそうですが、IT分野の機器類で円形のものはDVDなどのディスクだけのようです。ICチップを切り出す元のシリコン・ウェーハは円形なのですが。


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