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Pound, "Nils Lykke"

エズラ・パウンド (1885-1972)
「ニルス・リュケ」

美しく、無限の記憶に、
ぼくの心は強く引かれる。
どうして君は、いつもぼくを呼んで、呼んで、呼ぶの?
どうして、そこの暗闇で小声でつぶやくの?
どうして、長い手をのばして、
ぼくと恋人の間に入ろうとするの?

どうして君は、いつも投げかけるの?
君の美の黒い影を、
ぼくの恋人の白い顔の上に。
どうして、彼女の水たまりのような両目をのぞきこむの?

* * *

Ezra Pound
Nils Lykke

Beautiful, infinite memories
That are a-plucking at my heart,
Why will you be ever calling and a-calling,
And a-murmuring in the dark there?
And a-reaching out your long hands
Between me and my beloved?

And why will you be ever a-casting
The black shadow of your beauty
On the white face of my beloved
And a-glinting in the pools of her eyes?

* * *

ニルス・リュケは16世紀の実在の人物。妻の死後、
その妹(か姉)と恋におちるが、当時の法では
これは近親相姦とされていたので、投獄され、処刑された。
このようなエピソードを題材に、イプセンはLady Inger of
Ostratという劇を書いた・・・・・・とのことらしい。
http://archive.org/details/collectedworksen01ibseuoft

この詩では、おそらく「君」が死んだ妻で、
「恋人」がその妹(か姉)。

(いつかこの劇を読んで確認します。いつか。)

* * *

お昼のドラマ的な題材と、それを超えて想像を
かきたてる言葉の混在。

Beautiful, infinite memories
The black shadow of your beauty
the pools of her eyes

* * *

英語テクストはExultations (1909)より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/40200

* * *

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