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「経済クラッシュ」ノオト その4  封鎖預金の試算 国債格下げ 

2020-06-11 16:39:40 | Weblog

日頃は偉そうな物言いでここに書いていると思われているのだろうが、「経済クラッシュ」を調べながらいかに自分が小心者なのかというところに至った。もし、国の財政が破たんしたら・・自分の年金や預金は大丈夫なのだろうか?これからの暮らしを維持していけるのだろうか?こんな心配が先に立つ。

 

「経済クラッシュ」ノオト その4  封鎖預金の試算 国債格下げ 

前回までは、敗戦時における経済混乱を描いた荒和雄著『預金封鎖』からの引用である。今回は、この小説が発刊された2003年時点における預金封鎖のシミュレーションについて以下に記す。

(2003年における試算)

個人金融資産は、日本全体で1,400兆円あり、その内現金・預貯金は全体で760兆3,000億円である。その内2000年度末の全国銀行の預貯金は、505兆8,365億円である。2002.3時点での金融機関の不良債権残高52兆4,000億円、国債発行残高500兆円である。

敗戦時のデータを使うと、第2封鎖預金になるのは、全体の35%なので177兆427億円、カット率70%とすると123兆9,298億円を金融機関の不良債権処理と国債償還処理に使うことになる。(当時は金融機関の不良債権が大きな問題であった。)

金融機関の不良債権額は、52兆4,000億円。この内要管理債権19兆1,000億円の50%は引当金(9兆5,500億円)でカバーしたとして、その残りを処理すべき不良債権42兆8,500億円とした。残りは国債の償還処理に81兆798億円を充てることになる。

 

(P178)「第十三章 『決起』」から引用する。

1946.2.17に3つの法律「金融緊急措置令」、「日本銀行券預入令」、「臨時財産調査令」を公布

1946.8.15「金融機関経理応急措置法」「会社経理応急措置法」を公布

1946.8.11「金融緊急措置令施行規則」を改正

⇒1963.7.22「金融緊急措置令」廃止、1954.4.10「日本銀行券預入令」廃止。

預金封鎖実施に関係のある「金融機関経理応急措置法」「会社経理応急措置法」は現在も生きている。法律に定めている指定時を現在に変え、第2封鎖預金を主務大臣である財務大臣が指定すれば旧勘定に入れ預金カットもできる。従って新たな法律制定は必要ない。

(預金封鎖の概要)

①すべての預金を原則一定期間(○年●月●日の新円発行・デノミ実施まで)払い戻し禁止

②対象は国内銀行が取り扱っている預金(預金保険機構加入の金融商品)

③株式・投信などはいずれも財産調査令で申告義務を設ける。

④預金は、第1預金は生活資金1カ月につき1世帯当り世帯主60万円、世帯員1人当り10万円として引き出しを自由とする。口座は名寄せの後の措置とする。名寄せ前にやむを得ず引き出された預金は返還の義務を負う。

⑤○年●月●日以降の銀行による預金払い出しは新円(デノミ・レート)。旧円は●月●日の前週まで銀行入金、その後は通貨として完全消滅する。

⑥企業の資金に関しては、決済資金である流動性預金は、第1預金として流通される。定期性預金は第2預金として一定期間封鎖される。

 

(P147)「第十一章 野望」には、預金の緊急避難方法まで記されている。

○外資系金融機関の支店に口座を設け預金を移す。

○海外への持ち出し金額は、円で100万円まで。金融機関を通じての海外への送金は、建前上は無制限となっているが、実際は200万円以上の送金者は、金融機関を通じて最寄りの税務署に通知される仕組みになっている。

○その他の方法として、外貨預金、外貨建て社債、外貨建て投資信託に避難させる。金などの貴金属投資も対策のひとつ。

 

まだまだ調べたいことがある。コロナ国債という話もあるが、国民が買わされた戦時国債はどうなったのか。当時のインフレの激しさ。引き出しを許された預金額が必要な生活費に足りたのか。資産家、地主、自営業者、サラリーマンなど多様な国民の間の感情的な反応はそれぞれどうだったのか。

 

関連するニュースがタイムリーに伝えられた。(2020.6.9)

「格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは9日、日本国債の格付け見通しを下方修正したと発表した(9日付時事通信)。

日本国債の格付けそのものは投資適格10段階の上から5番目にあたるAプラスに据え置かれた。あくまで今後の「見通し」をこれまでの、格上げの可能性がある「ポジティブ」から「安定的」に引き下げたのである。

国会で審議中の第二次補正予算案を踏まえ、S&Pは2020年度の債務残高のGDP比率は171%と2019年度の151%から大幅に上昇すると試算。新型コロナの感染が収束しても、今後2~3年間はある程度の財政支出を維持して経済を下支えするため、財政は引き続き圧迫されると予想している(時事通信)。

さすがに過去最大規模の補正予算案を受けて格付け会社も動かざるを得なかったものとみられる。日本国債についてはたとえ格付け会社の格下げがあっても、これまで動じることはなかった。日本国債が国内投資家でほぼカバーされていたからという理由もあったが、それ以上に日本国債に対する揺るぎなき信認が存在していたためである。

その信認に疑問が出れば、2010年のギリシャ国債、その後のイタリアやスペインの国債のような事態を招く可能性は高い。いったん信認に疑問が請じると格付け会社の格下げなどにも敏感に反応するようになってしまう。これはギリシャショック時の南欧国債の動きをみても明らかであり、これが日本国債では絶対起きないという保証はない。(引用)

 

 

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