「雨にぬれて ひとり紫陽花 凛と咲く」 このようにあることは理想だとわかるが、現実の自分はかなり遠いところにいる。そこに向かおうとしてもいない。6月になった。
「経済クラッシュ」ノオトその1 荒和雄 『預金封鎖』
コロナ対策のために補正予算を編成、財源は赤字国債。経済の落ち込みで税収減が見込まれる歳入を赤字国債で補てん。この国には、アジア・太平洋戦争の敗戦時に巨額に膨れ上がった債務残高を解消していた歴史があった。
『預金封鎖』(荒和雄著 講談社 2003年刊)は、大手金融機関、シンクタンク、政界を舞台とした通俗的な経済小説だが、預金封鎖をはじめとする敗戦時の経済政策については良く調べており、資料的な価値がある。
(P104)「第八章 預金封鎖」より
(朝日新聞1946.2.17) (1面ヨコ書き見出し)預金払出しが制限、新円発行、経済危機突破へ非常措置 (タテ書き)食糧、生活必需品、労務に亘る総合政策、今日から預金封鎖、解除は財産税徴収後、(4面)臨時財産調査要領の記事
(前日ラジオ)大蔵大臣渋沢敬三の声明 「2月26日までに貯金された貯金、預金、信託などは、一家の世帯主が300円、その他の方は一人100円までの払出しを認めるほかは、原則として当分の間、自由な払出しは禁ずる。(預金封鎖)
いままで使用してきた百円以上のお札は3月2日いっぱいですべて無効になる。(新円切替)
そのねらいは、財産課税価格の査定日にそれまで流通している日銀券を旧券として無効にする。たんす預金などすべての現金(貴金属は除く)を強制的に金融機関に預け入れさせ、名寄せにより残高調書を税務署に提出する。税務署が財産税徴収のための財産調査を終了した段階で一定期間を経て自由に新円によって預金の払出しができるという方法。(財産税徴収)
解消する必要がある戦時補償債務は 政府の軍事産業に対する未払金、陸・海軍人に対する復員手当、銀行の戦争保険に対する支払い、軍需産業に対するリストラ資金など約1,000億円、プラス国民が「戦時国債」として購入させられた国債など年度末残高2,000億円。これに対して国民総生産は年度末で745億円。マイナス2,255億円を国民の財産で補うというものである。
1946.2.17に3つの法律「金融緊急措置令」、「日本銀行券預入令」、「臨時財産調査令」を(天皇の緊急)勅令として公布、即日実施。
この国は、債務破たんした他国とは違って、国民の資産があるから大丈夫と言われている。その意味が理解できてきた。霞が関の奥でリアルに考えている優秀な官僚がいるのだろう。歴史は繰り返す?まさかの坂というのもあるから。