ぎっしり詰まって腸閉塞を起こしました。
なんだかおわかりですか?
回虫です。
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回虫が詰まると通過するのを待つか、開腹手術するしかありません。通過するのを待っていると胃や小腸が破裂したり、破裂しなくても傷んだところが壊死して腹膜炎で駄目になることが多いのです。
手術すれば小腸を開いて詰まっている回虫を取り除くだけのように思われますが、癒着して予後は良くありません。小腸捻転とおなじか、あるいはそれ以上に悪いのです。
たぶん回虫がこんなにいる子馬というのは、外見上はわからなくても実際には健康ではないのだろうと思います。
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回虫は卵で口から入り、小腸で仔虫になり、血管に入って血流に乗って肝臓を経て肺へ行き、肺の組織を破って気管へ出ます。そして、痰として飲み込まれ、小腸で成虫(写真で小腸に詰まっているやつ)になります。
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いいですか。この小腸にいる一匹一匹はそうやって子馬の体の中を這いずり回ってきたんです。
もちろん滅菌されてから移動したわけではありません。
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駆虫(虫下し)は、寄生虫がいるからかけるのではなく、寄生虫が寄生しないようにかけるものです。
「虫が出た」と言って喜ばないでください。「虫が出ない」と言ってがっかりする必要もありません。
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ケンタッキーの獣医師に、「回虫詰まりの馬を診る」と言ったら驚いていた。「ケンタッキーにもあるでしょう?」
「Never(絶対無い)!!!」だそうです。
海外の急性腹症の教科書にも子馬の回虫症は載ってはいますが・・・・・・
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子馬は生後1~1.5ヶ月齢から駆虫する必要があります。その後も1~1.5ヶ月おきに駆虫する必要があります。
子馬は親の糞を食べます。駆虫していない馬の糞にはいやほど虫卵が含まれています。
親馬も子馬のためにも駆虫してください。
ほとんどの牧場はきちんと駆虫しています。ただ、このきちんとというのが難しいんですが。経費も相当かかりますね。
また、どうもうまく吐き出す馬もいるようですよ。
爆発的に増えてしまう馬は、免疫も関係しているのではと思っています。
牧場によっては、毎年虫が出るななんてこともしばしば。
まだまだ駆虫するという事が、広まっていないのでしょうか?
これを開いて中からウジョウジョ、という写真もあるのですが、透けて見えるのもインパクトがあるかなと。
イベルメクチン販売以来線虫による疾患は減りましたが、駆虫が足りない牧場は相変わらずです。
南のほうで働いている友人とこの間電話で話したところ、糞線虫でのポックリ病みたいなのが出ているそうです。
寄生疝は結構あるんですか?
そう言われるとそうですね。なぜ体の中をうろうろするんでしょうか・・・・
寄生虫症は暑いところのほうがひどくなるようですね。糞線虫によるポックリ病を本で見て驚きました。
はじめから小腸にいたらいいのに・・・といつも思います。
(変態をとげるために必要なんでしょうけど)
牛では線虫駆虫によるメリットについて啓蒙が進んで、今では当たり前に実施されていますが
それでコクシジウムやカンテツまで落ちると思ってる農家さんもいますし
駆虫したら、必要な寄生虫(←?)まで死ぬからダメだ!という農家さんもいますし、
まだまだ正確な知識が広まってるとは言えません。。。