動物医薬販売会社のMPアグロ株式会社が発行している「MPアグロジャーナル」1月号に、
子牛の哺乳は量から質へ! ~ちびちび哺乳のススメ~ という文章が載っていて、読んだらとても興味深かった。
乳用子牛の場合だが、
「子牛の増体の良い農家さんは、哺乳量が多い」ことを否定できない。
しかし、「哺乳量を上げることによって、下痢をする子牛もいる」。
「ちびちび哺乳は一回の哺乳をゆっくりと哺乳しましょうということ」。
乳牛の哺育(浦上清、明文書房)によれば、体重1kgを増加させるのに要する哺乳量は、バケツ哺乳に比べて、ゆっくり哺乳では43.4%でよかった、とのこと。
ちびちび哺乳だと、消化酵素の分泌が間に合うので、消化不良性の下痢が減少する。
唾液を出すことで、脂肪分解酵素が有効に働く。
ちびちび飲むと誤嚥が防げるので、呼吸器病が減る。
ちびちび飲むと、第一胃に入って発酵異常を起こすことがなくなり、第一胃腐敗症が減る。
ちびちび哺乳することで、子牛が満足・満腹し、舐めあい・吸い合いがなくなる。
などということが書かれている。
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先日、第四胃が穿孔していた人工哺乳されていた黒毛子牛に遭遇した。
搾乳ロボットは、1回の哺乳量3.5リットルで日量10リットルに設定している、ということだった。
しかし、ちびちび哺乳ではなかったのだろう。
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馬でも、新生仔馬に哺乳ビンで飲ませることのリスクはしばしば経験する。
元気がない仔馬に哺乳ビンで飲ませると、しばしば誤嚥させているし、
元気な仔馬はグビグビ飲むので、ついつい哺乳ビンの口を大きくして一気に飲ませてしまう。
人がミルクで育てる場合は、人になつきすぎないように、ボウルで飲ませるようにすることが推奨されているが、がぶ飲みさせて下痢させることが多い。
たぶん、仔馬でも本当はちびちび哺乳することが消化管の健康のためには望ましいのだろう。
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仔馬の肢まがりの手術。家畜共済非加入牧場。管外から。
1歳馬の外傷。家畜共済非加入。
1歳馬の腰フラのx線検査。家畜共済非加入。
繁殖雌馬の喉嚢真菌症。
その仔馬の細菌性関節炎・骨髄炎。
夕方、仔馬の骨折の連絡。
夜の大手術になった。
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オラはがぶ飲みは得意。
下痢したことはない。
ちびちび飲み、たぶんいいとこもよくないとこもあったりするのでしょうけど、人口哺乳は生かすことさえほんとは大変なのですよね。
おかぁさん馬を亡くしても、ジョッキー乗せて、あのゲートを元気に走り出て、無事にゴールする競走馬もいるのだから、お見事。
暖かくなって、運動量増加して、食事も美味しくいただいていたら、はとぽっけも増体。
あら~、オラ君、ボールいっぱいまとってモデル立ち!かっこいいねー。
仔馬の時も、母馬のお乳が溜まる前に、吸い付いたのかと思うくらい、すぐに飲むのを止めてしまうので、搾って確かめたときもありました。
本当は、大きな桶で食事するような体ではないんでしょうね。
お母さん馬が体調が悪くなったり、死んでしまったりすると、母馬の大切さたいへんさがわかります。とても人にもロボットにも代わりはできません。
草も、馬は草原に居る動物ではなく、荒地にチョロチョロと生えた草を移動しながら食べる、というのが本来なのでしょう。