見たことがある人には一目瞭然で、喉嚢鼓張である。
喉の両側にある喉嚢には空気が出入りしているが、入り口は開けっ放しではなく、スリット状になっていて、フラップのようなもので塞がれている。
空気が入るばかりで出て行かなくなると、このように膨らんでしまう。
この子馬は右の喉嚢に内視鏡を入れると、喉嚢から空気が抜けて左右ともにへこんだ。右の喉嚢だけが膨らんで、左まで膨らませているようだった。
つまり左の喉嚢の入り口の機能には問題がないようだった。
それなら、左右の喉嚢の間の壁(中隔)に孔を開けて、右の空気を左の喉嚢から逃がしてやれば治る。
全身麻酔で、右の喉嚢にヴィデオスコープを入れて、そのヴィデオスコープから高周波焼烙器のスネアを出して、喉嚢中隔に切れ込みを入れた。さらに、左の喉嚢からもヴィデオスコープを入れて、中隔に孔が開いていることを確認し、さらに切れ込みを拡大した。
術後は、喉が腫れることもなくなり順調だとのことだ。
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もし両側の喉嚢の入り口が機能しなくなっていると、やはり入り口を何とか治療しなくてはいけない。
その方法についてはまだ方法は確立されていない。
喉嚢を完全に開けっ放しにしてしまうことの弊害についてもまだわかっていない。
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喉嚢鼓張をおこしていると、喉が外へ腫れているだけではなく、喉頭も膨らんで狭くなっている。いびきをかいているくらいならいいが、ひどくなると呼吸が苦しくなり、誤嚥するようになって肺炎をおこしたりする。
生後数ヶ月の子馬におきる病気なのだが、ほうっておいてはいけない。
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今日は大荒れの天気だった。昼間は暗く、雷が鳴り、バラバラとミゾレ混じりの雨が降り、風が強くなって・・・・
佐呂間町で竜巻で9人もの方が亡くなった。
言葉もない。
ご冥福をお祈りする。
喉嚢咽頭開口部を拡張?切開?開けっ放し?にすると逆に喉嚢に細菌が繁殖しやすい環境をつるように思えてしまうのは、素人的考えでしょうか???
学生時に、馬の外科実習で喉嚢の辺りを担当したときに、ふと思ったのですが・・・。
そのとおりです。脳神経や内頚動脈、外頚動脈、舌骨、頭長筋などがむき出しになっている喉嚢を、あまり自由に空気が出入りするようにしてしまうのは感染の危険を増大させるでしょう。
しかし、閉じているのに空気は抜ける。という状態を作るのはなかなか難しいようです。
だいたい、どうして馬属だけこれほど耳管憩室が発達しているかわかっていないのですから。
脳へ行く血液を冷やしているのだという報告がありますが、ホントかな~?と思っています。