馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

Madigan Loop Rope

2019-04-09 | How to 馬医者修行
午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。
昼は、血液検査業務。
64件だった。
血清分離にも時間がかかる。
手術室では、競走馬の腕節の関節鏡手術と、腕節滑液嚢の外骨症 exostosis のチェックと、去勢。
         ー
夕方、難産の依頼。
1時半から分娩が始まって、頭も前肢も来ていなかったのを、頭と片方の前肢を直したけど、後肢の蹄も来ていて・・・とのこと。
来院してすぐ全身麻酔した。
帝王切開も考えていたが、なんとか出せそうなので、引っ張り出した。
         ー
全身麻酔してからは、1時間足らずで娩出させられたのだが、もう4時間ほど苦悶した母馬。
目は覚めて、前肢は立とうとするが、後肢を伸ばしたまま犬座姿勢になった。
後躯を上げられそうにない。
それで、Madigan先生に教わったLoop Rope による起立介助を行った。
うまく行った!
ホームセンターで売っている(ネットで探した方がサイズがそろっているけど)荷揚げ用のループスリングを2本使った。
もう2本使うと、前躯も持ち上げることができる。
カリフォルニア大学獣医学部の内科学教授がこれを教えてくれたのだから、馬の臨床って奥が深く、経験と工夫が必要なんだよね。
         //////////
闘いすんで日が暮れて。

4 コメント

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>はとぽっけさん (hig)
2019-04-10 04:51:28
後躯を吊り上げる方法は、このようになるでしょうね。乳牛で使われる腰角を挟む方法は特異的です。

かつては海外に良い薬や器具や技術があっても高くて買えなかった、導入できなかった時代もありました。英語が普及し、ネットが使えるようになり、そして円は高くなった。獣医療のレベルもいろいろなものに支えられているのだと思います。

今年の春は寒いように感じます。
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>zebraさん (hig)
2019-04-10 04:45:06
こんなことまで。ということです。Madigan教授は新生児学の大家で、エリート大学であるUniversity of Californiaの教授ですので。

私も以前、荷揚げ用のロープでどうやって起立介助するかさんざん考えたのですが、Loop ropeが良いとは思いつきませんでした。
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Unknown (はとぽっけ)
2019-04-09 06:53:49
 怒涛の出産シーズン、いろいろに駆使する場面はほかの時より多いでしょね。無事に立って、元気回復して欲しいなぁ。
 あら、内科の先生からの伝授だったのですか。高齢わんこや腰痛わんこ用のハーネスもこんな感じですよね。
 先日、小さな郷土資料館で思いがけず古い獣医学の本などを展示していたので、興味深く見て回った。競走馬と同じく海外からの知識や技術もあるけど、日本独自のもの馬医療には混じっているようでした。馬用の薬草とか。
 変わったり、変わらなかったりするけど、どの時代も命のためにいろいろ駆使したんですね。
 雨だけど、春の雨だなと思う、寒さのゆるみ。
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Unknown (zebra)
2019-04-09 06:51:06
Madigan先生は不世出のロープ博士ですね笑
突っ込みどころはここでは無くて内科の先生だと言うところなのでしょうか。
ホイストの位置関係ですとか、応用者の技術にもよるでしょうし、foal squeezeばりの不思議な力も働いていそうです。
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