馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

アブ対策

2014-07-21 | 学問

P7196431バイエルが出している「動薬研究」という冊子がある。

この冊子の6月号に、酪農学園大学応用昆虫研究室の佐々木均先生が

「飛来昆虫サシバエ・アブの生態とその防除」と題して、アブやサシバエの種類、生態、防除方法などを書いておられる。

かなり学術的な文章で、とても詳しく書かれている。

           -

私の周りでもアブはとても多い。

海から500mほどなのだが、山林に囲まれてもいるかららしい。

と言ってもアブはどこで増殖しているのか?疑問に思っていた。

                          -

アブの被害をなんとかしたい牧場も多いはずだ。P7196432

診療に来る馬も腫れてボコボコになっていたり、血だらけになっていたりする。

アブが飛んでくるので、外で落ち着いて診療することはできないし、

診療室へも入ってくる。

                          -

牛では白血病の媒介が問題になっている。

おそらく最も大きな伝染方法はアブ類による媒介なのだろう。

                          -

この文章には防除手段も書かれている。

生態的防除(避陰林の整備、避難小屋の設置、産卵植物の除草、湿地の乾燥化)、

物理的防除(トラップの設置、畜舎への防虫網の設置)、

生物学的防除(寄生蜂の保護、寄生菌やバクテリアの散布、捕食性天敵の保護)

化学的防除(畜体への殺虫剤塗布、忌避剤の使用)

<以上、アブについて>

しかし、実際に効果をあげるのはなかなか難しそうだ。

費用がかからない簡便なトラップを試作中とのことだから、良いものができたら試したい。

とりあえずは・・・・・・・・・一生懸命、草刈りするしかないか。

                                                        ////////////////

今日はよく晴れ上がり、しかし暑くなく、風は爽やかで、良い夏の日だった。

午前中、黒毛和種子牛の臍ヘルニアの手術。

臍ヘルニアというより腹壁欠損なのだろうと思う。

雌子牛なのだが、臍周囲だけでなく、もっと尾側の腹壁正中が癒合していない。

午後、ロド感染症の子馬の剖検。

肺も、腸管リンパ節も、膿だらけ。

                        -

2014072117140002

だらけ・・・・