分娩4日目の繁殖雌馬。
分娩後から不調で、抗生物質投与などの治療をしていた、とのこと。
前日の白血球数は3000以下。
来院したら、超音波検査で腹水増量が確認され、
子宮に手を入れたら、右子宮角の大きな穿孔を触知できた。
子宮角の穿孔は、たいてい、いかにも仔馬の後肢が突き破りました、という5cmほどの穿孔創であることが多い。
しかし、この症例の子宮の裂孔は10cm以上ある。
腹腔内の汚れもひどかった。
アズキ色の腹水が大量に溜まっていた。
生理食塩液を注入して、吸引回収して腹腔洗浄することを繰り返し、腹底にドレインを留置して閉腹した。
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経過はよろしくなく、次の朝は疝痛。その翌朝には死んでしまった。
子宮角の穿孔を開腹手術した症例では、ダメになることは珍しい。
手遅れだ。
分娩後の繁殖雌馬で腹膜炎を疑ったら、するべきことは抗生物質投与ではない。
腹膜炎を確定診断し、二次診療施設へ送ることだ。
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子宮体の穿孔で、分娩当日に運び込まれた繁殖雌馬。
子宮体の背側の大きな裂創で、開腹手術創と膣側から縫合された。
ドレインを留置し、翌日も腹腔洗浄。
その翌朝は、ドレインを開放しても腹水は出なかった。
生理食塩液を2リットル入れて、ドレインをかなり抜き気味にしたところ。
オレンジ色をしているが、透明感があり、フィブリン塊などはない。
ドレインは抜去した。
仔馬と一緒に退院していった。
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ネジでとめて組み立てるだけなんだけど、ねじ回しだけではたいへんだ。
電動ドリルでてきぱきやるのと・・・・
動物を扱う必要があるのは、家畜整形外科学と相通ずる;笑。