真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「痴女スチュワーデス 不道徳姉妹」(2001『美姉妹スチュワーデス 制服けいれん』の2011年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/監督:坂本太/脚本:有馬仟世/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:創優和/編集:《有》フィルム・クラフト/助監督:竹洞哲也/照明:小野弘文/監督助手:小松慎典・米村剛太/撮影助手:宮永昭典/照明助手:藤塚正行・平岡えり/メイク:《有》パルティール/選曲:コウワクリエイティブ/タイトル:道川昭/衣装協力:《株》フリービジョン/ロケ協力:《株》アートハウス/照明応援:高原賢一・原康二/出演:神谷麗子・ゆき・林由美香・千葉誠樹・竹本泰志・なかみつせいじ)。クレジットの位置からも窺へる、照明に関する錯綜は一体何があつたのか。実際の出来栄えからは、特段現場が混乱した状況は、少なくとも素人目には見受けられないのだが。
 二流航空会社「コウワ国内航空」―いふまでもなく、高橋講和の名前から採つたものであらう―No.1スチュワーデスの神崎美里(神谷)と、妹で補欠入社からどうにか客室常務に滑り込んだ香里(ゆき)とが、機内放送のマイクを取り合ふ。一フライト終へた二人、姉への敵対心も剥き出しに、トップの座を正しく虎視眈々と狙ふ香里は、恋人と会ふ約束の美里を尻目に、早速次の北海道便の搭乗へと向かふ。要は神谷麗子とゆきにしても同じことなのだが、パイロットのコスプレで、竹本泰志が颯爽と空港内に現れる。どうせ撮影もゲリラなので、数年に一度のペースでお縄を頂戴するのがニュースにもなる、マニア昂じた偽警官と実質的には似たやうな寸法であらうことに思ひを致すと、そこはかとなく微笑ましい。閑話休題、美里のお相手といふのが、コウワのライバル大手「大日空」機長の早見亮(竹本)。とはいへ互ひに、社内的には同業他社の人間との交際は御法度である故、美里は一度は入社試験に落ちた、「大日空」への移籍を目論んでゐた。綺麗に鎬を削る姉妹に、眼鏡といひ髭といひ、何故か田代まさしのやうな造形のコウワ管理官・徳田俊幸(千葉)は、相変らず美里が一位で香里が二位の、乗客アンケートの結果を告げる。その傍ら、ここは画面(ゑづら)的にも心情の上でも激越に呑み難いものの、兎も角矢張り乗客アンケートの結果地上勤務に格下げとなつた主任客室乗務員の遠山雅(林)は、昨今出没する制服マニアの変態による更衣室荒らしに注意するやう促す。雅が徳田を誑し込み、再び空へと飛び立つことを画策する一方、「大日空」がコウワNo.1スチュワーデスのヘッドハンティングを図つてゐるといふ噂が流れ、美里と香里は色めき立つ。そんな中、件の“制服マニアの変態”笠井祐二(なかみつ)が、噂される乗客に紛れたヘッドハンターに何故か偽装し、美里に接触する
 多分全三作でまづ間違ひあるまい、エクセスのささやかな連作“美姉妹スチュワーデス”シリーズの二作目である。第一作は、前年同じく坂本太の「美姉妹スチュワーデス~名器くらべ~」(2000/脚本:有田琉人/主演:麻宮淳子・時任歩)。三本目は製作年を前後して反則、いや変則的に、浜野佐知の「奴隷美姉妹 新人スチュワーデス」(1998/脚本:山邦紀/主演:桜ちより・風間今日子)の、2004年旧作改題版「美姉妹スチュワーデス 朝まで狂乱」。話を本作に戻すと、三番手で扇の要をガッチリ締める、林由美香の扱ひの軽さは重ね重ね納得が行かないところではありながら、姉妹がそれぞれの野望で豊かに膨らませた胸を、男達に惜し気もなく晒し奮闘する物語は、陽性のピンク映画として鉄板中の鉄板。美里と香里のそれぞれ次の一手といふ形で、矢継ぎ早に濡れ場が繰り出され続ける構成は、裸映画としての充実も越え、素といふ意味での裸の娯楽映画の展開としても素晴らしく快調。エクセスの常といふか何といふべきか、首から上は美人の田村亮子でしかない主演女優ではありつつ、ゆき(ex.横浜ゆき)に見劣らぬだけのタッパにも恵まれた、如何にもフカフカと抱き心地の堪らなさうな柔らかさを感じさせる神谷麗子の肢体は、ひとまづ大いにスクリーンに映える。一件のオチを成す、笠井が嘘ヘッドハンティングのからくりを知つた段取りにをも、雅の絡みを捻じ込む―その為裸の見納めが、林由美香といふのは逆に実に心憎い―頑丈な論理性も光る。決して偉ぶらない他愛なさが寧ろ量産型娯楽映画的ともいへよう、慎ましやかな良作。この水準のポップ・ピンクといふのが、個人的には最も心地良さを覚えるものである。
 三名見切れるその他乗客要員は、定石通り演出部からの増援部隊か。画面手前、座席右列で眠る竹洞哲也の姿は確認出来たが、最も目立つ、友松直之の毒を抜いた弟のやうなルックスが、小松慎典と米村剛太の何れかには辿り着けず。笠井を引つ立てる、強ひていふならばけーすけ似の、関西弁の若い警備員も不明。

 ところで、封切り当時年を跨いで三ヶ月後、今作がアンカー・ビジュアルネットワークよりVHSリリースされた際のビデオ題が、そのままズバリ「スチュワーデス物語」。幾ら何でも、度を越した臆面もなさぶりが最早白々もとい清々しい。


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