真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「痴漢電車 制服がいつぱい」(昭和61『痴漢電車 終点までいかせて』の1992年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:深町章/企画:伊能竜/撮影:志賀葉一/照明:守田芳彦/編集:酒井正次/助監督:佐藤寿保/監督助手:上野勝仁/撮影助手:片山浩/照明助手:森岡薫藻/録音:東音スタジオ/現像:東映化工/出演:田口あゆみ・水上乱・ジミー土田・幡寿一・久保新二・しのざきさとみ・かすみさやか・津崎一郎・幡寿一・池島ゆたか・風見玲香・柏木早苗・立川小錦・港雄一・野上正義)。企画の伊能竜と、出演者中二重クレジットされる―本篇ママ―幡寿一に、津崎一郎はそれぞれ向井寛と佐藤寿保に津田一郎の変名。柏木早苗が、VHSジャケには柏木さなえ。
 新宿の高層ビル群を舐めて、「痴漢!?したことありませんよそんなもん」とジミ土の素頓狂な第一声で華麗に開巻。「何だつて、したことない!?」、久保チンの豪快な逆ギレに、ジミ土も流石に気圧される。とか何とか昼行燈上司が、部下に電車痴漢を勧めるとかいふ底の抜けた寸法で、カメラ目線の久保チンが「君達も痴漢やつてみない?」、ナア!とシャウトを決めてタイトル・イン。続くクレジット時、六甲おろしが実曲大起動するのが何事かと首を傾げるならば、想起されたし。前年の昭和60年は、阪神タイガースが二十一年ぶりのリーグ優勝と、三十八年ぶりの日本一を達成した年である。
 尺を大体三等分した、オムニバス仕立てで設定程度のふんはりした物語しか存在しない一篇につき、サクサク配役残り。Psrt1のみ何故か黒バック―以降はブルーバック―の、“Psrt1 セーラー服”。結局速攻でバラけつつも、久保チンがジミ土を先導する形で痴漢電車満員の車中に。水上乱は、ジミ土がコンタクトするセーラー服、煌めくほど女子高生には見えないけれど。若い頃は軽く山西道広似の幡寿一が、ジミ土が排除する格好となる水上乱のお得意。久保チンと対する田口あゆみ共々、水上乱は電車痴漢で金銭の対価を得てゐた。軽く痛い目に遭つた久保チンは、二度目の対戦で田口あゆみにバイブを突つ込んだ上で痴漢電車を離脱。ホームにて腕をグルングルン回しながら、ダブルミーニングの“必殺無チン乗車”を誇るといふのが痛快なパンチライン。“Psrt2 白衣”のファースト・カットは、結婚を控へた二人を、不忍池?の湖面に映す。池島ゆたかが係長昇進に手の届いたヨウイチで、アテレコのしのざきさとみが、ヨウイチとは温度差を感じさせ結婚を焦る恋人・トモコ、職業は看護婦。名前は可愛らしいかすみさやかは、ヨウイチが車内でナンパするゴリラ。津崎一郎は、ゴリラが膣痙攣を起こした修羅場に、トモコと緊急の往診で―要は自宅に―駆けつける医師。再登場の幡寿一は、如何にして着せたのか肉便器メッセージのプリントされた白衣のトモコに、群がる集団痴漢要員、もう二人見切れるのが片方は上野勝仁にしても、三人目には完全に手も足も出ない。漸く六甲おろしに辿り着く、“Psrt3 喪服”。野上正義は、電車に揺られる間も録音した真弓三十三号の実況を聴いてゐたりするくらゐの虎キチ・リョウスケ、柏木早苗が浮気相手。柏木早苗とパツイチ愉しんだのち、遅く津田スタに帰宅したリョウスケは、虎キチ夫婦の鬼嫁・ユキエ(風間)にコッ酷く怒られる。ところがそんなリョウスケが、阪神がヤクルトと引き分け二十一年ぶりのリーグ優勝を決定した瞬間、歓喜の急死。四十九日を終へたユキエは、坊主なのに何時も通りのアイパーな港雄一に何だかんだ喰はれる。最中、リョウスケを殺したのは阪神であると頻りに唆す坊主が、事後巨党である旨判明するのが無体なオチ。2代目快楽亭ブラック十三番目の名義である、立川小錦はラストの痴漢電車―正確には逆痴漢ないし痴女電車―でユキエがミーツする、縦縞を着たハーフ。
 久し振りに再起動した「Viva Pinks!」殲滅戦第十三戦、残弾数、一。新題のまゝビデオ化されたゆゑ、特定に軽く難儀した深町章(ex.稲尾実)昭和61年第一作、改名後第二作に当たる。久保チン×ガミさん×港雄一の男優部三巨頭を揃へ、女優部も倍増といふ豪勢な布陣を見るに、恐らく正月映画なのではなからうか。尤も倍増とはいへ、田口あゆみ・しのざきさとみ・風見玲香の実質三本柱以外は、乳尻には各々の魅力なり訴求力を有しながらも、何れ劣るとも勝らない大絶賛谷間ばかりの裏ローテ、それは寧ろ平地だ。実は田口あゆみが乳も拝ませないものの、久保チンが軽やかに弾けるPsrt1。久保チンと、ガミさん&港雄一に挟まれた池島ゆたかが絶望的に分が悪く、展開的にも最もプルーンではあれ、しのざきさとみが被弾する集団痴漢がクッソどエロいPsrt2。女房に怒鳴られムッチャクチャに開き直るガミさんと、港雄一に弄ばれる風見玲香の、いはゆるゴムマリ感あるオッパイが素晴らしいPsrt3。特段の映画的な面白味は一欠片もないにせよ、各篇それぞれそれなりの見所に富んだ、多分新春を飾つたに相応しい賑々しい一作である。


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