真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「裂けた柔襞」(昭和62/製作:オリエント21/提供:にっかつ/監督:小林悟・日垣一博・青柳一夫/脚本:池田正一/プロデューサー:矢野浩祐・奥村幸士/撮影:柳田友貴・古谷巧/照明:大塚豪彦・平岡裕史/編集:エディターズカンパニー/スチール:中野基/メイク:田中尚美/音楽:東京スクリーンサービス/録音:銀座サウンド/現像:東映化工㈱/製作担当:堺沢優治/主演:清水ひとみ/出演:風見玲香・炎上寺由羅・岩城冴子・風間ひとみ・坂入正三・天野良治・吉岡一郎・渡辺一平・朝田淳史・飛鷹純・井沢誠・大場亀・平賀勘一・武藤樹一郎/特別出演:大前均・沢まどか・ハニーラブ)。実際のビリングは、平勘とトメの武藤樹一郎の間に特別出演勢を挿む。各部のセカンド・サードは一緒くたに、但し小さい号数でクレジットされる。撮影・照明は兎も角、演出部でそんなことするの初めて見た。
 パクられた容疑者に殺到する報道陣、上着がトッ外されると出て来たのは女。消耗しきつた風情の女に、この人が清水ひとみですよと主演クレジットが入りタイトル・イン。クレジットに乗せ取調室に連れて行かれる清水ひとみの姿を消化して、時制は少し遡る。麻雀に弱いコーイチ(恐らく天野良治)とサカショーがコーイチ宅に転がり込むと、父親に性的虐待されたアヤコ(清水)が逃れて来てゐた。麻雀の借金の形にサカショーがアヤコに強制夜這ひをかける一夜を通過して、死にたいとすら溢すアヤコを、友人(風見玲香?)は―男に―苦労させられるよりも騙して搾り取ることを考へろと、自身が働くピンサロに誘ふ。友人も友人だが、そんな話に乗るアヤコもアヤコだ。本番も全然アリアリなピンサロ稼業に案の定馴染めないアヤコに、愛称はジュンちやんの割に、ジュンジなのかシュンジなのかシンジなのだか呼称される毎に本名が全然安定しない―多分シンジが本命―バーテン(武藤)が接近する。
 殆ど手も足も出ない配役残り、どうやら、基本ビリングが登場順に並んでゐるぽいといふ推定で、炎上寺由羅と岩城冴子が、ピンサロの嬢とママ?風間ひとみが、シンジ本命のストリッパー???吉岡一郎と渡辺一平は、ママのパトロン氏イワブチさん―ここは確定―とピンサロ客。朝田淳史・飛鷹純・井沢誠は、プレ新婚旅行気分のアヤコとシンジを海岸にて急襲、アヤコを犯す狂犬三人組。ここも、朝田淳史は間違ひない。大御大の人を喰つた変名である大場亀“大馬鹿め”が、ストリップ興行会社「世界藝能」を営むシンジ父。大前均と平賀勘一は、興業に穴を開けかけた「世界藝能」に怒鳴り込むヤクザと子分。平賀勘一は、ピンサロにていはゆる三輪車に驚喜する客も兼務してゐる筈だ。口跡は変らないが、流石に別人のやうに若い。ハニーラブは本職の踊り子さんで、沢まどかが、首尾よくアヤコを捕まへたことに父息子が祝杯を挙げる、店の女給???
 DMMに新着した買取系ロマンポルノに喰ひついた、大御大・小林悟の昭和62年作。jmdbを鵜呑みにすると全六作中第三作に当たり、残りは全て大蔵。絶望的に男運に恵まれぬヒロインが刹那的な凶行に至るまでを無体に描いた一作は、始終が器用にストリップ小屋に着地してみせることと、性急の斜め上だか下を驀進するラストのドライなビートは如何にも貫禄の御大仕事ながら、流石に潤沢な普請に恵まれた、撮影の分厚さは見させる。豪快に長尺を費やすスローモーションと、砂浜を一体何処から抜いたのか大胆なロングとが火を噴くアヤコが狂犬三匹に陵辱される件は、裸の素直な煽情性としても、映画的な叙情としても激しく魅せる。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 痴漢覗き魔 ... 未亡人の下半... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。