真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「復讐性犯罪 白濁レイプ」(1994/製作・配給:大蔵映画/監督:小林悟/脚本:如月吹雪/撮影:柳田友貴/照明:荻久保則男/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:国沢実/音楽:東京BGM/スチール:佐藤初太郎/フィルム:AGFA/録音:シネキャビンRCO/現像:東映化学《株》/出演:大鷹小百合・西野奈々美・梶原恭子・白都翔一・浜崎優・太田始・港雄一)。照明の荻久保則男―胎内記憶を扱つたドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」が目下上映中―は、a.k.a.まんたのりお。
 「嫌ーッ!」開巻、林道を逃げるセーラー服姿の女子高生と、追ふ二人の男。木が風に戦ぐのは兎も角、足音が微妙にコツコツいつてるのは音効おかしくね?カメラが左斜め上にパンすると、劇伴起動とともに暗転タイトル・イン。クレジット中の、シネキャビンRCOなる初見の謎表記の意味が判らない。
 チェイス続行、追ひ駆けてゐるのも男子高生。追ひ詰められた大鷹小百合が一見美人かと思つたら馬面、再びの「嫌ーッ!」と矢継ぎ早に、白都翔一が「ワーッ!」と悪夢から跳ね起きる。俳優として売り出し中の達也(白都)宅に、超絶のタイミングでしかも港雄一から、「あの時の女子高生美味しかつたろ」と金銭を要求するでもなく目的不明の不審電話がかゝつて来る。窮した達也は当時のマドンナで、清純女子高生、ではなく清純女子高に通つてゐた望(大鷹)を二人で犯した悪友の和夫(浜崎)と、高校卒業以来五年ぶりに「摩天楼」にて再会。五年前、達也と和夫が何となく尾けてみた望は、苦学生の通か透か徹辺り(太田)と逢瀬。ここで港雄一は、望と通がランデブーするベンチの隣のベンチで寝てた人。通が放り投げた新聞紙と、達也と和夫がポイ捨てした空き缶の直撃をそれぞれ被弾、「馬鹿野郎、俺はゴミ箱ぢやねえんだよ」といふツッコミは笑かせる。なほも尾けてみた望は、あらうことか通と青姦敢行。因みに港雄一(以下ミッチ)もコソッと追随し、マスをかいてなんかゐたりする。事後一人その場に残つた望を、達也と和夫が強姦したといふ次第。挙句の果てに、更にその事後。ミッチが「大変だつたねえ」とかいひながら無抵抗無反応―あるいは単に、演者に表情が乏しいともいへる―の望を、延々執拗に貪るシークエンスは、品性下劣な琴線をどうしやうもなく激弾きする。
 配役残り、辛うじて乳は垣間見せる西野奈々美は、「お前の兄貴への制裁」と称した謎のパーカ男に、自宅で凌辱される和夫の同居する妹・緑。事件をネタに脅迫されてゐた望は睡眠薬をオーバードーズ、通の眼前、ホテルのベッドの上で死す。殆ど脱ぐ機会も与へられない梶原恭子は、後を追ふも死に損なつた通の今カノ・ケイコ。
 大御大・小林悟、1994年ピンク映画第七作、薔薇族込みで第十作。女の子一人スーサイドしてゐるといふのに、まるで悪びれないクズ二人が、姿の見えない脅迫者の影に怯える。外道が更なるド外道に喰はれるピカレスクな物語は、港雄一が尺の折り返しも跨ぎかねない勢ひで長々と大鷹小百合に垂涎してゐる内に、何時しか何処吹く風。後半は矢継ぎ早の超展開に次ぐ魔展開の末に、そこだけ掻い摘めば確かに小林悟が映画の魔術を仕掛けた形跡も窺へ、ショット単体の出来は決して満更でもないラストまで一直線、もしくは急転直下。望と通の野外セックスに対し、和夫がマンガみたいに見開いた目を爛々と輝かせる一方、達也はグジャグジャ現実から逃避すらしてのける。刹那の幻影を叩き込む、ラスト・ショットの方便自体は決して呑み込み得ない筋合のものではないものの、回想を乱打する中で時制の移動ないしは整理が木端微塵に粉砕してしまふのと、サイコに入り組んだ展開にあつても断じて濡れ場は疎かにしはしない逆説的にストイックな至誠が災ひし、ただでさへ大きな飛躍が清々しいまでに埋まらない。大体、達也とミッチの接点を完全にスッ飛ばしてのけるのが地味に致命傷。重ねて、濡れ場を疎かにしないといふのも、主演女優の一人勝ち。二番手三番手はビリングが意味を成さないほどに、共々瞬間的に通過。よしんば梶原恭子は百歩譲るとしても、西野奈々美の裸を満足に見せないのは、裸映画的には重大な疑問手ではなからうか。珍しくヤル気を出したやうに思へなくもないにせよ、最終的なトッ散らかり具合は、良きにつけ悪しきにつけ安定と貫禄の大御大仕事である。
 備忘録< ケイコも白濁レイプし狂気を露にする達也に、和夫は望の幻影を見る


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