閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ミズヒキ

2012-09-06 11:53:11 | 日々

ミズヒキとは、よく名づけたもの。
上から見ると赤く、下から見ると白い。
すうっと1本、細く、長く、なるほど、紅白の水引だ。
この赤が、何やら特殊な赤なのか、光の加減なのか、
なかなか見た通りの赤に写ってくれず、薄いピンクになってしまう。
シャッターを押しては「あれ? あれれ?」と言っている。

 

下から順に咲いていき、咲いた順に種になっていく。
半日陰が好きらしく、うちの庭にはやたらと生えているけれど、
このようにぱっちりきれいに開いた花は探さないとみつからない。

日本の「水引」を、外国の人に説明するには、
何と言えばわかりやすいだろうか。
トラディショナルなセレモニーやギフトに使う紙の紐??
(「熨斗」はもっと難しい。そもそも自分でもよくわかっていない)

この紅白のミズヒキはアジア原産の植物で、欧米には自生しない。
北米にはギンミズヒキに似た白花のVirginia Knotweedがあるそうだ。
この名も、細長い穂に咲く花を糸の結び目に見立てたもの。
別名をJumpseedというのは、種が飛び散るから、とのこと。

 


こちらはキンミズヒキ。
細くて、長くて、かたくて、まっすぐで、花がぽちぽち。
姿かたちは似ているけれど、ミズヒキはタデ科、キンミズヒキはバラ科。
種は飛び散るかわりに、動物や人にくっついて移動する。
 

 

くっつく種といえば、これも。
萩より一足先に、草むらでこっそり咲いていたヌスビトハギ。
遠目にはタデっぽくも見えるけれど、マメ科。


ぱらぱらと、ひなあられがこぼれているようだ。


 

からすうりも実になってきた。
若い実には縞がある。
猪の子と同じですね。

この実、からすが食べるかどうか、見たことがないのでわからない。
名前に「イヌ」「カラス」がつく植物は、イヌガラシ、カラスノエンドウなど、
「何かに似ているが、食用にならない」ものであることが多い。
おおまかに、地べたの植物か、やや高いところにあるかで、
イヌ組とカラス組に分かれる・・ような気がするけれど、
カラスノエンドウなんて地面だし、適当に「気分で」つけたのかもしれない。
どちらかといえばイヌ組のほうが、「使えると思ったのに駄目じゃん!」
という口惜しさが入っている・・ような気もする。
これは例によってあまり根拠のない閑猫説ですが。

一方、「キツネ」がつく植物は、キツネノカミソリ、キツネノボタンなど、
人の使う道具のかたちに似ているものが多い。
狐が人間に化けたときに使いそうだ、ということだろうか。
昔話では、そこまでディティールが語られることはないけれど、
野山でこういう植物に出会うたびに、想像はふくらみ、ひろがっていく。
逆にいえば、こういう植物の生えるバックグラウンドがあってこそ、
語られた話が聞き手の中で「生きる」ということ。

狐が出たついでに、狸はどうだろう。
タヌキのつく植物はタヌキモしか知らない。
あれを頭にのせて化ける・・のかな?と思ったら、そうではなく、
タヌキの尾に似ている、ということのようだ。
同じ化けるでも、狐のほうが小道具に凝るんですね。

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