閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ビーチコウマー・その4(前篇)

2014-11-19 13:26:00 | 日々


またある日、別の湾。
流木(とペットボトル)が大量に積み重なっているので歩きにくい。
そこをばりばりと乗り越えていくと、おばあちゃんがひとり、
ちんまりと座って焚火の番をしていた。

 

すこし曇り。きょうは風も穏やか。
かぼちゃ級の石、おにぎりみたいな石、粒の大きい砂利、小さい砂利。
水際に近づくにつれてだんだんこまかくなる。
どの石もすべすべしていて、手にとると気持ちがいい。

自然にできたものには、すべてこの気持ちよさがあると思う。
眺めてうれしい、さわって楽しい、飽きのこないかたち。
ヒトがあれこれ考えてデザインしても、なかなかこうはいかない。
これまでにないものを、誰も思いついていないものをと、
新奇さを追求すればするほど、本来の必然から遠ざかっていく。
無理して作ることないんじゃないか。
ほんものの「オリジナリティ」は、たとえばこんな浜辺にある。
おばあちゃんが火にくべている流木や、波に磨かれた貝殻。
こうなるべくしてこうなったかたち。
  

 


 

 

 

 

 

この岩が、どれだけたったら、てのひらに乗る丸石になる? 

 

 

ピンクのウエットスーツの海女さんがゆっくり戻ってくる。
トコブシを採っているのだそうだ。

 

 

 

 

波が寄せてくるところには、こまかい貝殻が帯状にある。
巻貝、ときどき宝貝、砕けたきれいな破片もたくさん。

ここは小さくて静かな湾で、座るのにいいような岩もあるし、
半日くらい腰を据えてじっくり貝拾いをしたい感じだけれど、
このあとまだ行くところがあるので、見るだけ、見るだけ。

後篇につづきます。

 

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