夕方、道に落ちた栗を5つばかり拾う。
栗ご飯には少ないし、どうしようかと思いながら、ポケットにいれる。
そのまま畑へ行って、青菜を少し摘み、それを片手に持ったまま、
ぶらぶら歩いて坂をのぼり、花盛りの金木犀を仰向いて眺め、
…あ! 雲!
大急ぎで走って家に戻る。
玄関に青菜をほうりだし、机の上のカメラをつかみ、
また走って坂をのぼり、もっと上まで。
木の枝に邪魔されない絶好の撮影ポイントは一か所しかない。
途中、次々とあらわれる大きな蜘蛛の巣に阻まれるが、
…なんとか間に合った!
秋の夕暮れの空は、一刻も目が離せない。
何か「出そうな」予感がする。
みるまに形を変え、色を変え、流れて、消える。
その形、その色、その一瞬、どれもが美しい宝物に見える。
空の輝きがうすれるまで、20分ほどのあいだ。
待って、狙って、つかまえた。
舞い降りる大きな鳥。