台所用品の話をつづけます。
圧力鍋は、母にもらって、前から持っていました。
昔ながらの大きくて厚くて重たいのです。
圧力がかかると、蒸気口の部品がコマのように回転して
ただならぬ悲鳴をあげるのがちょっと恐ろしく、
(映画「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘプバーンが
お料理をしていると、いきなり圧力鍋がバクハツして
天井まで吹き上がっちゃうシーン…あれを見たせいだ)
火を止めたあとも、ちょっとでも動かそうものなら
おこってプシューッとドラゴンのように蒸気を吹くので、
取り扱いにたいそう神経を使うお鍋でした。
大は小を兼ねる、とはいえ、少人数の家族なので
大きな鍋を出すのがだんだんおっくうになりました。
300グラムの豆や500グラムのブロック肉を煮たり、
気軽にスープやシチューを作ったりするのに
ちょうどいいサイズのが欲しくなって、
数年前にやや小ぶりの圧力鍋を買いました。
ドイツはフィスラー社の片手鍋。
お値段もけっこうしたけれど、これはいい買物でした。
静かで、怖くない。移動も、水かけて急冷も、平気。
手近な棚にのるサイズなので、ほいっと使えます。
母は玄米ごはんを圧力鍋で炊いていました。
わたしは主におかずしか作りません。
鶏肉と野菜と水を適当にいれ、3分間加圧。
完全に冷めたところで浮いた脂を徹底的にすくってしまう。
あとは、ポトフにもカレーにもシチューにもできます。
かんたん、かんたん。
電子レンジの普及が、ドイツは一番遅かった、
というような話を聞きました。
ドイツの道具はさすがにしっかりできている。
15年保証、っていうのが、なんとも頼もしくていいです。
15年たって、もしも壊れたら、また同じのを買おう。
魔女のように長生きしたって、何度でも買い直せそうです。