閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

2008-06-10 08:40:52 | 日々

台所に立っている。
背後に小さいテーブルがあり、配膳台として使っているが、
ここはさんちゃんの「待合席」でもある。
おなかがすくと、いつもここに座っている。
他の猫のように、足元にきてにゃあにゃあ催促したりせず、
黙って殿様のように座っているだけなので、
こちらも「ちょっと待ってね」と言ったきり忘れてしまうこともある。
忘れられたさんちゃんは、すうっとどこかへ行ってしまうこともあるし、
その場で丸まって寝てしまうこともある。

たまにはコロッケでも作ろうと、早めに下ごしらえをしていた。
例によって背後にさんちゃんの気配がある。
冷蔵庫をあけたり、流し台の下の戸棚をあけたり、
動くたびに視野の隅に黒い重量感のあるものがちらちらする。
あいにく作っているものがコロッケなので、
さんちゃんにゴハンを出してやることができない。
しばらくして、ようやく手があいたので「さて」と振り向いた。
テーブルの上にいたのは、さんちゃんではなかった。
黒い大きな…中華鍋であった。
「あ。ごめん」
笑いながら中華鍋にあやまってしまったわたし。


その1時間後。コロッケを揚げながら、
ふと何かが変だと気づく。
コロッケが三角だ。
成形段階で手がおにぎりと間違えたようだ。

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