弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

外出自粛はいつまで続くか

2020-04-18 10:27:20 | 歴史・社会
新型コロナ感染拡大、接触6割減でも感染者数減らず
『北海道大学の西浦教授は、人と人との接触を6割減らしても感染者数は減らないとする試算をまとめました。
厚労省クラスター対策班の北海道大学・西浦教授は、人と人との接触を6割減らしても新たな感染者数は減らず、65%接触を減らした場合も感染の収束には70日以上かかり長期化。一方で、80%減らすことが出来れば1か月程度で感染を収束させることが出来ると試算しています。』

日々のテレビ報道を見ていると、上記見解を拡大して、「接触が8割減らせれば、1ヶ月後には外出自粛を解除して普通の生活に戻れる」ような雰囲気が出ています。しかし、この考え方は間違っています。

iPS研究所の山中教授「最低1年は我慢を」
『-感染者数の拡大が収まるにはどのようなケースがあり得るか。
 「三つしかない。一つは季節性インフルエンザのように気温などの理由でコロナウイルスが勢いをなくすこと。だが気温にかかわらず世界中でまん延していることからすれば、そうでない可能性は高い。そうなると後は二つ。ほとんどの人が感染して集団免疫という状態になるか、ワクチンや治療薬ができることだ。ワクチンや治療薬は1年ではできないのではないか。最低1年は覚悟しないといけない。ダッシュと思って全力疾走すると、まだ(ウイルスが社会に)残っているのに力尽きることになってしまう」』

「外出自粛、22年まで必要」 米ハーバード大が予測
『その結果、今回の流行が終わった後も、外出規制を1度だけで解除すればすぐに第2波が来ることなどが判明。感染者数のピークが救急医療態勢の能力を超えないように、断続的に外出規制を行うと、集団免疫を獲得するには22年までかかることが分かった。
 研究チームは「新たな治療法とワクチンがあれば外出規制の期間と厳しさを軽減できる」としている。しかし、制圧に成功したように見えても、24年までは再び感染が広まる可能性があり監視を続けることが必要だという。』

1ヶ月間接触を8割減らして、新規感染者数が大幅に低減して「収束」に至ったとしても、決して市中感染者数が大幅に減少したことを意味しません。少ない新規感染者数を維持するためには、接触8割減をその後も維持する必要があります。安心して外出自粛を解除して接触が元に戻れば、あっという間に新規感染者数が爆発的に増大するでしょう。

われわれが元の生活に戻れるためには、即ち接触を減らすことなく新規感染者数を低く抑えるためには、人口に占める免疫保持者の比率がある程度まで増大しなければなりません(集団免疫)。免疫を保持するためには感染しなければなりません。現時点で、接触を減らして新規感染者数を減らすと言うことは、集団免疫に到達するまでの期間が長くなることを意味します。

現在、全国的な外出自粛と、特定業種の休業自粛を行っており、経済は大幅に減退しています。国民は皆、「5月6日までの辛抱」と信じて辛抱していますが、実はこの状態が1年から2年は継続することを覚悟しなければならないのです。
そうとしたら、1年も2年も、「接触8割減」を継続することになり、経済は崩壊し、国民生活は成り立たないでしょう。もうこの辺で、経済の再開を考えなければなりません。

新規感染者数をある程度許容する中で、限界はどこに設けるべきか。
私は、「重症者数をある限界内に収め、医療崩壊が起きないように維持しつつ、その範囲内で接触減を緩和する」というクライテリアであろうと考えます。

日本は、PCR検査の数を抑制しています。その結果、市中感染者(隠れ陽性者)が高い比率で存在していることでしょう。対して韓国などは、PCR実施比率が高く、隠れ陽性者は発見されて隔離されているので、市中感染者比率は日本よりも低いものと推定されます。

新規重症者数は、接触率が高いほど多くなり、市中感染者比率が高いほど多くなるものと推定されます。
 [新規重症者数]∝[接触率]×[市中感染者比率]
従って、新規重症者の数を、医療崩壊が起こらない範囲内に維持するに際し、市中感染者比率が低いほど、接触率を上昇させることが可能になる、ということです。

そこで提言です。
PCR検査数を大幅に増大し、市中感染者(隠れ陽性者)を検出して隔離施設に入ってもらい、市中感染者比率の低減すべきです。そして、市中感染者比率の低減が確認できたら、その時点で、少しずつ外出自粛要請や休業要請の程度を減じて、経済の再開に向かうことができるでしょう。

多くの国民は、5月6日になっても外出自粛が解除されず、今後1年から2年続くと知ったら、大変なことになるでしょう。
一刻も早く、PCR検査の大幅増大を実現し、市中感染者比率の低減に努めるべきです。お手本は隣国韓国にあります。
[検体採取箇所]
今は、ドライブスルーだけに注目が集まっています。しかし韓国では、ドライブスルーよりも、ウォークスルー的な検体採取場所の数が10倍近くに上っています。日本において、車社会である地域はドライブスルーでいいでしょうが、東京のような大都市は、このウォークスルーを模範とすべきです。
[採取した検体の運搬]
多数配置した検体採取箇所から、採取した検体を検査基地に運ばなければなりません。ウーバーイーツに大量発注して運搬してもらう手があります。世の中には休業で職を失った人があふれています。この人たちに運転手をしてもらうのです。
[検査能力]
理由は分かりませんが、日本は検査能力を増大できない特殊事情があるのかもしれません。諸外国ができているのに日本だけできない理由は理解不能ではありますが。しかし、本当に検査能力増大が難しいのであれば、韓国との間に毎日多くの臨時便(航空機)を飛ばして、韓国にPCR検査を依頼する、という手が残っています。アベノマスクに466億円出せるのですから、この程度の支出は可能でしょう。
[日本の特殊事情(BCG)]
日本は、BCGが義務化され続けており、それもBCG株として日本株を使用してきた結果として、新型コロナに感染しづらく、また重症化しづらい体質を得ていた可能性があります。これは本当にラッキーでした。このような僥倖も加味され、PCR検査数を増大して市中感染者数を低減しさえすれば、欧米よりも早く、経済活動を元の状態に近くまで戻せるかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする