弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

震災復興に官僚の能力を活かす方法

2011-12-27 20:42:22 | 歴史・社会
池上彰の「学問のススメ」「野田首相は化けるかもしれない?~御厨貴・東京大学先端科学技術研究センター教授に聞く【最終回】
池上 彰  2011年12月15日(木)
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『池上:御厨先生のお話をお伺いしていると、官僚たちだけじゃなく、将来の首相なり、政治家になる人も東北の復興現場で武者修業するのが、日本にとっても当人にとっても、非常に大切な感じがいたします。

御厨:僕が議長代理を務める復興会議では、若手官僚を1~2年間、復興現場にレンタルしたらどうかと提案しているんです。震災直後、若手官僚を20日間くらい各県庁に派遣していたのだけど、そんなにすぐに戻すのではなくて長期間の派遣をすべきだと。さらに、各県庁ではなく、市町村に出すべきだと主張しています。
復興の現場でもニーズがあるんですよ。復興会議が市町村に対して実施したアンケートで「1番ほしい人材は?」と聞いたら、「中央の行政がよくわかっている人が欲しい」というんです。地方自治体では、国の補正予算と自分たち予算をつなぐ仕組みがわからないんですね。一方、官僚たちは若くても仕組みを知っている。市町村は助かるし、復興現場でしごかれた若手官僚は必ず育ちます。レンタル期間が終わっても東京に戻らず現地に残っても良いし、政治家に転身しても良い。と復興会議で主張すると「そういう仕組みは今はありません」という意見が出る。だから、これからつくってほしい。』

この意見、以前にも聞いたことがあります。探したら見つかりました。

財部誠一の現代日本私観【第6回】「復興停滞の裏に「菅直人の暴走」と「官僚の脱力感」~いまこそ“官僚主導”に舵を切れ
2011年6月28日 財部誠一
『「総理からは以前にも増していろいろな課題の検討指示等が出されますが、復興基本法以外のものは菅総理の下では決められないか、又は決めても総理が変わったら反故になるおそれがあるとの認識が広がっており、重要な意志決定はほとんど行われる雰囲気がありません」
霞が関の官僚たちが脱力感に苛まれている。』
『では、被災地の復興はどうしたらいいのか。
いまこそやるべきは三流総理の“政治主導”から“官僚主導”へともう一度、舵を切ることだ。霞が関は問題山積だが、ヤル気と能力のある官僚が少なからずいることも事実だ。各省庁縦割りや現場がまるで見えていない視野狭窄の弊害を取り払ってやりさえすれば、霞が関は被災地の復旧・復興にどれだけ役立つかわからない。官邸が乱立させた多くの会議に官僚を事務局として張り付けておくくらいなら、中央省庁の官僚を被災地の市町村に送り込むべきだ。それだけで劇的な前進が期待できる。
「たとえば10名くらいの各省官僚のチームをいくつか編成して被災地の市町村に送り込み、地元の自治体の職員や住民、有識者と一緒になってそれぞれの地域に合った復興計画の青写真を一刻も早く作成する。そして共に、それを実行するために国として講ずべき施策が何であるかを彼らが国に持ち帰る。地方と国をつなぐコーディネーターの役割を官僚にやらせばいいのです」
中堅官僚による苦肉のアイデアだ。』
『そこで問われるのは被災地の市町村の自律性だ。「どんな姿を希求するのか」、それを霞が関の混成チームにバックアップさせるのだ。市町村の地方公務員だけでは、復旧、復興のためにどんな制度が使えるのか、何ができて何ができないのか、制度や法律をどう変えたら地元自治体の意向を実現できるのか、がわからない。しかも現実的に国の縦割り行政が大きな壁になることがしばしばあるだろう。
復興の青写真作成とその実行を確実にするために霞が関混成チームを送り込む――。せいぜい10チーム100人くらいを編成すればいい。それだけでは10市町村しかカバーできないではないかと批判されそうだが、心配無用だ。状況の異なる10市町村をカバーすれば、10パターンの復旧・復興モデルができる。その他市町村は希望に近い基本モデルを軸に調整を加えることで対応は可能になる。』

6月には財部誠一氏が提案していた方策、御厨教授が12月に述べたところでは、何ら実現の方向には向かっていません。そして、御厨教授が復興会議の議長代理として提案しても、「そういう仕組みは今はありません」ということで一蹴されているようです。

残念なことです。
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